先日、知人から先が分からないから不安だという話を投げかけられた。
そのような気持ちが私の中にも無いわけではないのだけれど、先が分からないということはある意味とても自由で、様々な可能性を秘めていて、素敵なことだと思っている。
私たちの思考回路は、先の先の先まで分かっていることが当たり前になり、それに慣れてしまったら、先が分からないことに強い魅力を感じるようになるのだろうし、
予め分かっているそれらを、どうしたら変えられるのか躍起になるようにも思う。
たから今はただ、先の先の先まで分からないことの方が多いため、先が分からないから不安だという思いが脳裏を過るのだろう、と。
どちらも一長一短だけれども、どちらが良いかと問われれば、私は様々な可能性を秘めた「分からない」の方に一票だろうか。
知人は、できることなら先の先の先くらいまで分かっていて、それを知った上で変えていくことを模索する方が楽そうだと言った。
そのような非現実的でも現実的でもあるやり取りを交わしていたのだけれど、その雑談の舵を「全く話は変わってしまうけれど」という言葉とともに大きく切ったのは知人であった。
どの辺りから次の話題を頭の中にチラつかせていたのだろうかと思うほど、話の舵を大きくきるため、その知人は舵取り名人という異名を持っている。
次は何の話題だろうかと身構えていると、「ジャケットをハンガーにかけるとき、ボタンを留める?留めない?」という突飛な内容であった。
しばらく考えた私は、出先でジャケットなどを脱いでハンガーにかけるときにはボタンは留めないけれど、
帰宅後にハンガーにかけ1日風を通した後はボタンを留めてクローゼットへ収納すると答えた。
すると、ジャケットをハンガーにかける際にボタンを留めるか否かは、ジャケットの持ちに影響するという話を教えてくれた。
私のお喋りが過ぎてしまいましたけれど、今回はそのようなお話をシェアさせていただければと思います。
ご興味ありましたら、ちらりとのぞいていって下さいませ。
結論から言ってしまうと、ジャケットをハンガーにかけるときには、ボタンを留めずにいた方がジャケットにかかる負担が減り、ジャケットを長持ちさせることができるのだそうだ。
ボタンホールやボタン糸の消耗具合なども理由の一つに入るようなのだけれど、一番の理由は、
ジャケットを他のお洋服と比較すると、他のお洋服よりも着用した状態を考慮し立体的に仕上げられているため、
体が入っていない状態でジャケットのボタンを留めてしまうと、生地が不自然な状態でキープされ、型崩れに繋がるというのだ。
だから、少々不自然には見えるけれど、ボタンを留めずに生地を自由な状態でキープしておく方が良いのだとか。
私は、クローゼットの中で隣合わせのお洋服に触れるなどしてシワになってしまうのが嫌で、毎回ボタンを留めて収納していたのだけれど、
衣替えを終えて翌シーズンへと持ち越したジャケットを再び取り出した時にボタン付近や前身頃にスチーマーをかけていることに気が付いた。
多分、ボタンを留めた状態で季節を巡らせている間に型崩れを起こしていたのだろう。
まだ私自身がボタンを留めずに収納する方法を試したことが無いため、この場で結果をお伝えすることはできないのですが、
何となく腑に落ちる点もあったので、シェアさせていただくことにしました。
頻繁に袖を通しているジャケットであればボタンを留めて収納しても、留めずに収納してもお洋服への負担はそう多くはないと思うのですが、
もし、ジャケットは頻繁に買い替える必要がないという方や、セレモニーに特化したジャケットで着用機会が少ないものを所持している方、
タイムレスなデザインのジャケットをお持ちだという方は、ボタンを留めずに収納しておくのも、大切なお洋服の劣化を遅らせる方法のひとつのようです。
直ぐに結果がでたりすることではありませんが、暮らしを健やかにする方法の中の小さなひとつとして、頭の片隅に忍ばせておいていただけましたら幸いです。
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