幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

エンドレスサマーから言葉の海へダイヴした日。

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先日、友人から爽やかな水色をした紫陽花の画像が送られてきた。

この友人は、いつだったか私が何気なく漏らした紫陽花が好きだという言葉を記憶に留めておいてくれており、毎年、梅雨の頃になると日常の中で見つけた様々な紫陽花画像を届けてくれるのだ。

年賀状の類のやり取りは一切していないし、会うことも連絡を取り合うこともほとんど無いのだけれど、梅雨の時季に紫陽花の花を介して、お互いの様子を少しだけ報告し合う関係が続いている。

その友人から季節外れに届いた紫陽花画像に一瞬、何かあったのだろうかと不安が過ったけれど、エンドレスサマーという名の、秋にも咲く紫陽花を見つけたことを知らせる連絡だと分かり、胸を撫でおろした。

その後、エンドレスサマーという紫陽花のことを調べてみると、その時季に伸びた枝先に花を咲かせる品種で、紫陽花の花が終わる度に古い花を切り落とすと、剪定した場所に再び花を咲かせるという。

そして、これが梅雨時季から秋まで続くというのだ。

誰が名付け親なのか存じ上げないけれど「エンドレスサマー(終わらない夏)」だなんて、ビターチョコレートのような、大人のほろ苦さを伴った甘い響きである。

が、夏を苦手とする私は、すぐさま近年の酷暑を想像してしまい複雑な思いが交差した。

しかし、エンドレスサマーのような爽やかな水色の紫陽花を目にしたら、あの酷暑も少しくらい和らいだりするのだろうか。

いやいやいやいや……そんな都合の良いことは……ない。

届けられた画面越しのエンドレスサマーを眺めながらそのようなことを思った。

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水色と言えば、数日前に仕事絡みで「水」という言葉を使った表現に多々触れる機会があった。

ひたすらそのような表現に触れ続ける中で感じたことと言えば、日本には「水」を使った美しい表現が多い、ということである。

これはきっと、先人たちが、命の源でもある水を、大切に扱いながら暮らしてきた印なのだろうと思う。

しかし、言葉なのだから美しいものや楽しいことを表現する言葉をポジティブカテゴリーに分類するならば、ネガティブカテゴリーに分類される言葉もある。

例えば、性格などが互いに合わないときに使われる「水と油」。

今までの努力が全て無駄になってしまったときに使われる「水の泡となる」。

その土地の気候や風土が自分にはあわないことを表現する「水が合わない」。

これを「あなたとは性格が合わないね」「あなたの努力は全部無駄になってしまったね」「私には、この土地の諸々が合わなくて嫌」などとストレートに言われたら、

眩暈でクラクラしてしまうか、胃がキリキリと痛み出すか、イライラの虫が騒ぎ出すなど大変な事態を招きかねないけれど、

シチュエーションや話題の詳細によっては、「あなたとは水と油よね」「あなたの努力は水の泡になってしまったね」「私には水が合わなくて」とほんの少しオブラートに包んで表現されたなら、

互いに、もしくはその場に居合わせた者同士、冷静さを完全に失わずに居られるように思う。

日本語の曖昧なものの言い方を、ハッキリしないものの言い方だとか、優柔不断だと言われることがあるけれど、本来は一手先を、いや……、もう二、三手先にまで意識を巡らせたものの言い方なのではないだろうか。

表現にも感じ方にも人の好みがあるので、万国共通の正解など無いけれど、この曖昧さが持つ奥深さはなかなか乙である。

エンドレスサマーを眺めながら言葉の海へダイヴしてしまったけれど、

私個人の思いとしては、夏は程よい辺りで秋へバトンを渡して欲しい……そう思った午後である。

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