駅近くのビルに入っているとある飲食店。
通された席は、外の景色を見下ろすことが出来る場所だった。
少しずつ日が落ちていく景色を淋しい景色だと感じる人もいるけれど、私は何だか、とてもほっとする。
現実は、夕飯を食べてからもうひと頑張りということもあるし、思うようにいかなかったと感じる日もあるので、その日の自分がやるべきことをやり切ったか否かは、とりあえず横に置いておくのだけれど、それでも今日も無事に過ごせたではないかと思える、あの感覚が好きなのだろうと思う。
いつだったか知人が言っていた。
湯船の中で、見たことすらない、あるかどうかも分からない宇宙の端っこを想像し、そこから自分を眺めるシチュエーションを想像するのだと。
そうすると、自分に課した壮大するミッションがそうさせるのか、正解が分からないからそうなるのか、頭の中でモヤモヤしているその日の小さな諸々も宇宙の端っこもどうでもよくなって、
全身の力がするすると抜け、ただただ「湯船に浸かって気持ちがいい」という感覚に集中できるそうだ。
リラックスする方法は人それぞれだけれども、それくらい視野や視点を広げたり引いてみたりすると、確かに入り過ぎている力を抜くことができるように思う。
そんな、いつぞやかの会話を思い出しながら、雨が落ちてくる空から地上へと視線を向けると、地上は駅へ向かう人が差す傘で埋め尽くされていた。
以前触れたことがあるアンブレラスカイではなく、アンブレラグラウンドと言ったところだろうか。
傘の色がシックなものばかりでカラフルなアンブレラグラウンドではなかったけれど、ちょっとした非日常の景色に、少しだけ身を乗り出すようにして窓の外を見た。
店内は週末の休みを控えている方が多かったのか、次第に賑やかさが増していった。
そう言えば、雨が降っている日の夜の街は、お酒で気分が高揚している人が多いように感じることがあるのだけれど、これは雨の日の気圧が人をお酒に酔わせているという。
カラクリは、飛行機に乗った際にお酒を飲むと、気圧の変化によってアルコールの吸収が高まり酔いやすいと言われているけれど、あの状態が地上でも起こっているのだとか。
そのことを知ってからは、雨の日のお酒席に居合わせると、つい人間ウォッチングをしてしまうのは、ここだけの話である。
お酒を召し上がる方は、雨の日は気持ち控えめに。
召し上がらない方は、雨の日と晴れの日の違いを人間ウォッチングしてみてはいかがでしょう。
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