最寄り駅そばにあるリカーショップは、様々なジャンルのお酒を取り扱っている。
その中には、リーズナブルなのに、もう一度飲みたいと思わせる様なお酒も多々あるため、つい、宝探しをするような気分で立ち寄ってしまうのだけれど、その出会いは一期一会がほとんどだ。
その日も、ふらりと立ち寄ったのだけれど、店内ではコルク話に花が咲いていた。
その話を拾い聴きしながら宝探しをしていると、コルクってどうやって採るか知ってる?と声を掛けられた。
このお店の方々は皆とてもフレンドリーで、何度か顔を見かけたことがあるお客であれば、このようにして会話に巻き込んでいくのである。
しかし、こちらが急いでいるときや、邪魔されたくないほど真剣に選んでいるときに声をかけてくることがないところを見るに、人や状況を見極める目は、さすが商売人といったところだ。
そうそう、話題はコルクである。
お酒の栓だけでなく、コースターやボード、フローリングに、その他様々なアイテムに姿を変えて重宝されているコルクだけれど、言われてみれば、私はコルクのもとの姿をよく知らない。
店主は一枚のポストカードを引き出しから取り出して、それを私にも見えるように振るようにして見せて、これがコルクの木だと言った。
そのポストカードに誘われるようにして店主がいるカウンターへ近寄ると、青い空をバックに立派な木が映っているポストカードだった。
店主がコルクの木と呼ぶその木の正式名称はコルクガシと言うそうだ。
意外だったのは、てっきり、この木を切り倒した後に用途別の厚さに裁断するのかと思いきや、コルクはコルクの木(コルクガシ)の樹皮なので樹齢20年以上の木から順に皮を剥がしてコルクの材料にするということ。
そして、樹皮を一度剥がした後は、再び樹皮の準備が整うまで10年ほどの時を要するという。
ただ、木を切り倒すわけではないから無限に在る資源かと言えば、そうとは限らない。
それに、この立派なコルクの木(コルクガシ)を寝床にしている野鳥がいたり、この木に実るドングリを餌にしている鳥やイベリコ豚がいるため、
人間の都合だけでどうにかして良い木ではないという考えも広がりつつあるそうで、少しずつではあるけれど、コルク栓から、ひねって開けるスクリュウキャップなどを使う動きがあるという。
コルクひとつから世の中を知ることができたことは、もちろん興味深かったのだけれど、
ワタクシ個人の驚きは、コルクの木(コルクガシ)にドングリが実ることや、あのイベリコ豚はコルクの木に実るドングリを食べているということの方が大きくて、世の中は私が思う以上に持ちつ持たれつだと思った時間となった。
コルクを目にする機会がありました際には、今回の何かしらをちらりと思い出していただけましたら幸いです。
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