幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

お作法|師走ならではのご挨拶を、セルフチェックしておきませんか。

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今年初めての「良いお年を」という言葉をいただき、今年初めての「良いお年を」という言葉を口にした。

久しぶりのその言葉に、口がもごもごしてしまった感じがして少しだけ恥ずかしい気がした。

その日の夜、相手はそのようなことなど気にも留めていないことは分かりきっているのだけれど、不意打ちに会ったみたいだったと思い返し、湯船の中で口をパクパク動かし、これから発しまくる一年振りのその言葉「よ・い・お・と・し・を」を繰り返した。

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カジュアルな間柄であれば「良いお年を」という省略された文言を発する機会が多いけれど、完成形は「良いお年をお迎えください」である。

口がうっかり「良いお年をお過ごしください」と言ってしまうという声を耳にすることがあるけれど、ここで言う「年」とは新年のことを指しているので年末のご挨拶として使う場合は「お迎えください」となる。

「お過ごしください」も誤りではないのだけれど、こちらはもともと、新しい年を無事に迎えるための準備が滞りなく終えられますようにという意味合いを持った言葉である。

私たちから見ると、何だかややこしい響きに聞こえるけれど、「お過ごしください」と「お迎えください」を使い分けていた当時には、使い分けるに足る理由があったのだ。

その理由というのは、当時は12月に入ると、その年の「ツケ(借金)」を清算する習慣があった。

すんなりと清算して新年の準備をできるのであれば問題ないのだけれど、中には精算の目途が立たない家、ツケを精算することはできるけれど清算をしてしまったら年を越すための食糧を準備することができなくなる家もあり、この時季の状況は、信頼や命に直結するようなことだったという。

このような時代があったことから、今年を無事に乗り切ることができるように願う「良いお年をお過ごしください」という挨拶と、「良いお年をお迎えください」という2種類の挨拶が使い分けられていたようだ。

そして、時代を経る中で生活の仕方などにも変化が表れ、今では「良いお年をお迎えください」や、これを省略した「良いお年を」という挨拶が使われている。

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どちらも正しい挨拶ではあるのだけれど、やはり一年の締めくくりの挨拶である。

目上の方や、お世話になった方々、礼節を重んじるシーンでは省略したものではなく「良いお年をお迎えください」と伝える方が清々しいように思う。

そして、年末に交わす挨拶のお作法をのぞく際に挙げられるシーンの中には、挨拶を交わすお相手が喪中だった場合、というものに触れられているものがある。

このようなパーソナル情報をお互いに知り合えている間柄というのはそう多くはないけれど、知っているということは近しい間柄のはず。

このような時には、「今年もありがとう、来年もよろしく」という内容の挨拶を交わすことで、お相手を思いやることができるように思う。

私は随分と年月が経っているけれど、過去に一度だけ、年の瀬を迎えた頃に友人と、このような挨拶を交わしたことがある。

その時にも、日本語には、言葉にできない思いを相手の負担にならないような形で伝えることができる言葉があってありがたい、と感じたことをこの原稿をしたためながら思い出した。

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師走ならではのご挨拶を口にする日も増えてまいります。

今回のあれやこれやを頭の片隅に忍ばせていただいて、気持ちを込めた言葉で温かいコミュニケーションを。

何かしらのヒントにしていただけましたら幸いです。

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