幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

人を魅了し続ける人というのは、いつもほんの少しだけミステリアスである。 

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手帳を捲りつつ今年を振り返っていたら、今年は、かつて伝説の大泥棒だったという設定の人物が登場する作品を数本、観たり読んだりする機会があったことを思い出した。

それぞれテイストが異なる作品だったけれど、全ての作品に「白い粉」の描写や演出があった。

ストーリーに直接関係していなかったこともあり、深追いすることなく数か月が経っていたのだけれど、ストーリー上では一切触れられていないにも関わらず、作者が異なる全ての作品に似た描写があるということは、作者がどうしても盛り込んでおきたい何かがあるということである。

そう思ってしまったら最後。

遅れ馳せながら私のセンサーが「何かあるぞ」と告げるものだから、探偵気分で好奇心の海へとダイヴし、「白い粉」の正体を追ってみることにした。

すると思いの外、あっさりと「白い粉」の正体に辿り着いたのである。

今回は、そのようなお話を少し、と思っております。

ご興味ありましたら、ちょっとした読書気分でお付き合いくださいませ。

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この白い粉の正体は、墓石を削ったときに出た粉で、このお墓に眠っている人物は、あの天下の大泥棒の肩書で知られている鼠小僧次郎吉でした。

なかなか捕まらずにいた鼠小僧の強運にあやかろうと大勢の方が彼の墓を訪れ、墓石を削ったときに出る粉をお守りにする風習が江戸時代からあったのだそう。

この風習は、今も勝負運や金運を上げたい方々に受け継がれているようで、鼠小僧のお墓の前には削って粉をいただくために用意された石が置いてあるようだ。

ここまでは江戸時代と変わらないようだけれど、現在は、鼠小僧の素早い身のこなしを、志望校へするりと入ることができることと重ね合わせ、合格祈願をするために足を運ぶ方もいるという。

私が触れた作品に登場した「白い粉」は全て、鼠小僧の同業者たちが彼の仕事っぷりにあやかっていた、もしくは同業者として鼠小僧に一目置いているという意味が含まれていたように思う。

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白い粉の正体と、その意味が分かってスッキリとしたのも束の間、私が思っていた鼠小僧は幻だったのかもしれないということを知るのである。

鼠小僧と言えば、大名や悪人から盗んだ金品を生活に困っている方に分け与えていた義賊として知られているけれど、

実際のところ、義賊だった証拠はなく、専門家の方々の見解は、盗んだものは、お酒や賭け事、女性などに使われていたという説が有力視されているようだ。

しかし、こちらの証拠も不十分だったからなのか、鼠小僧の暮らしぶりや振る舞いが町民たちにそう思わせたのか、鼠小僧は義賊だという信仰が今も残っているようである。

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真実を煙に巻き、時代を経てもなお愛される存在で居続けるところまでが彼の計算だったとしたら、様々な意味で間違いなく天下の大泥棒である。

時代を経ても人を魅了し続ける人というのは、いつもほんの少しだけミステリアスである。

小説や映画、ドラマなどに登場する泥棒が「白い粉」を持っていたら、鼠小僧のことをちらりと思い出していただけましたら幸いです。

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