カットした野菜をボウルに入れ終え、両手を使ってワシャワシャと混ぜ合わせた。
このひと手間が、“ただのカット野菜盛り”という見た目を“カラフルサラダ”という見た目に変えることを思うと、小さな何かがキッカケとなって花開くものごとは、想像する以上に多いのかもしれない。
面倒だと思って手を止めることもできるけれど、「せっかく頭に浮かんだことだから面倒ではあるけれど、やってみるか」と動いていると、いつの日か、素敵な何かに辿り着くことができるようにも思う。
タイミングが良い人、ツイている人とも言えるだろうか。
そのような方々を見ていると、この辺りのフットワークが非常に軽やかである。
その行動の先に何か在るのか、無いのかということには拘らず、一歩を踏み出すことそのものを無意識に楽しんでいるように見える。
当たり障りの無いようなことは躊躇せずにトライ。
そうしていると、その行動が何らかの形で、後に咲くであろう花の種を撒くことに繋がるように思う。
今年も、自分のセンサーが反応したことはできる限りトライしてみよう、そんな新年の抱負にも近いことを思いながら、カラフルサラダに変身したボウルの中から銀杏切りの大根を摘まみ上げて口の中に運んだ。
サラダと言えば、先日、ソウルの地下鉄駅構内には、野菜を水耕栽培するスペースが設けられているという話題を目にした。
私の目に留まった画像は、赤紫色のライトに照らされた空間に、無機質でシンプルな金属製の栽培棚が規則正しく並べられており、その棚にはレタスなどのサラダ野菜が、これまた規則正しく並んだ状態で水耕栽培されている、というものだ。
近未来を描いたSF映画のワンシーンのようにも見えるその景色は、間違いなく現在のソウルの地下鉄構内であり「メトロファーム」と名付けられている。
この水耕栽培スペースはガラス張りになっているので、通行人は外から中を眺めることができるという。
そして、ここで栽培されたフレッシュな野菜は収穫後、駅構内の飲食店でサラダや野菜ジュースとして提供されているという。
地下鉄駅構内と言っても、韓国地下鉄構内は日本と異なり、とても大きなスペースがあるそうで、改札付近から離れれば離れるほど、利用したいと手を挙げる企業などもいないことから、このスペースを有効利用する目的としてメトロファームが生まれたそうだ。
昨年9月にオープンしたばかりのメトロファームなので、韓国へ足を運ぶ機会があればのぞいてみようと思った光景である。
天候に左右されず、衛生的に栽培することができる水耕栽培野菜は、既に私たちの食卓にも多数上がっているけれど、メトロファームのような光景を見慣れた景色のひとつとして育つ子どもたちは、土がついた野菜を見て何を思うのだろうかと、妙な興味が湧いたりもして。
消費者としては、美味しく安全に口にすることができれば御の字ではあるのだけれど、生産者の方々が手塩にかけて育ててくださる野菜が窮地に立たされないようなバランスで、共存できる世の中であって欲しいと思う。
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