自宅で洋画を観ていたのだけれど、頭の片隅では、画面に映し出されるドアノッカーに意識が引っ張られていた。
日本ではインターホンで住人に声をかけるシステムが主流だけれど、海外の多くの地域では今でもドアノッカーが取り付けられているお宅が多いように思う。
ドアノッカーとは、玄関ドアの上部中央辺りに取り付けられている金属製のもので、電車の吊り輪のような輪っかをドアに打ち付けてノックをするというもの。
海外のお宅にはインターホンが無いということではなく、インターホンを取り付けているお宅も多々あるけれど、このドアノッカーは装飾品という意味合いや災厄除け、願掛けのような意味合いもあるため、インターホンと併用している方もいらっしゃるアイテムである。
外国で多く見かけるドアノッカーのデザインと言えばライオンの顔をしたものだろうか。
日本でもドアノッカーや門のストッパーにライオンの顔を模ったものが使われるところを目にする機会があるけれど、これは災厄除けの門番のような意味がある。
聞くところによると、古代エジプト時代のライオンと言えば、目を開けたまま眠る動物だと考えられていたそうで、ここから、住人が眠っている間も目を開けて門番として住人を守ってくれるだろうという願いや期待をこめてドアノッカーにライオンが選ばれるようになったようだ。
国内外を問わず、ライオンの像を建物のエントランスに置いているところがあるけれど、これも災厄除けの門番という意味合いが強いという。
きっと、日本で言うところの狛犬や沖縄のシーサーのようなものだろうと思う。
ライオン以外に多く目にするドアノッカーモチーフと言えば、「ファティマの手」もそのひとつ。
ファティマの手と呼ばれるモチーフは、アクセサリーや海外のお土産などで目にすることがあるけれど、こちらは中東やモロッコ辺りを中心に、災厄除けのお守りとして古くから大切にされてきたモチーフだ。
右手、手のひらの中央に目をあしらったデザインで、この手は女神の手だと言われている。
私がヨーロッパで多く目にしたドアノッカーは、馬蹄モチーフのものだった。
中には馬の顔が付いたスペシャル感溢れるものもあったけれど、こちらは幸運を家や住人に招き入れる意味合いで取り付けられているように思う。
ライオンやファティマの手、馬蹄などを模ったドアノッカーは、定番中の定番だけれども、今は、これら以外にもシンプルでスタイリッシュな輪っかデザインのものからデザイン性の高いものユーモラスなものまで種類が豊富。
雑貨店などでも手軽に購入できるあたり、災厄除けというよりは玄関ドアの装飾品や室内インテリアグッズとしての用途の方が高くなっているようだ。
ドアノッカーを目にする機会がありました折には、探偵気分でモチーフの意味を紐解いてみてはいかがでしょうか。
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