幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

かいわれ大根を庭に植えたら大根になるの!?

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背後から可愛い会話が聞こえてきた。

「ねぇねぇ、かいわれ大根は大根なんだからさ、お庭に植えたら大根がいっぱいできるんじゃない?植えてみようよ、植えていい?」

そう言われた母親は、「できるかもしれないけれど、これはさ、晩御飯のときに食べようよ」と、子どもの想像や発想を壊さぬよう配慮しつつ、やんわりと会話の流れを軌道修正していた。

子どもの発想も母親の軌道修正も微笑ましく、マスクの中の口元が緩んでしまった。

そして緩みついでに、かいわれ大根ワンパック分の大根が、ご家庭の庭先で立派に成長し、次々に引き抜かれる様子を想像して、更に口元はゆるゆるに。

マスクの着用にもすっかりと慣れたけれど、人目に晒されることがないマスクの奥は、想像以上に様々な表情が生まれているに違いないと思った。

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かいわれ大根と言えば、以前友人が、大根を調理することが面倒なときには、かいわれ大根を食べておけばいいのだろうかと話していたことを思い出した。

この友人は、とにかく効率を重視する考えを持っており、こういった発想が多いのだけれど、その度に「実際はどうなのだろうか」と立ち止まる機会をもらっているように思う。

かいわれ大根は大根の新芽なのだから、土に植えて栽培すれば大根になるようにも見えるけれど、実際はかいわれ大根として品種改良されているそうで、かいわれ大根を育てたとしても、あの真っ白い大根にはならないという。

あの子どもと私の、かいわれ大根の成長に関する想像はあっけなく散ってしまうのだけれど、根菜である大根と発芽野菜(スプラウト)であるカイワレ大根が、美容と健康にとって必要な栄養素をたっぷりと含んでいることには変わりないようである。

しかし、全く同じ栄養が含まれているわけではなく、

かいわれ大根には、骨を丈夫にしたり、動脈が石灰化することを抑えたり、怪我をした際などに血が流れすぎないように凝固するよう働くときに使われるビタミンKや、皮膚や粘膜、目の健康を保ち、体内を錆びつかせないように働くビタミンAをはじめとするビタミンが豊富だと言われており、

一方の大根には、浮腫みを取り除く際にも必要となるカリウムや、胃もたれを防ぐ成分、私たちが生きていくために必要な酵素、ビタミンを豊富に含んでいるという。

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秋の訪れと共に目に留まり始めた秋の味覚の数々に手を伸ばす機会も多いかと思います。

このようなときは、日頃のちょっとした食材選びが胃腸を健やかに保ったり、代謝を落とさぬよう働いてくれたり、肌荒れ防止や体重増加の抑制のために縁の下からサポートしてくれたりするものです。

大根やかいわれ大根を召し上がる際のコツは、火を通して食べるメニューだけでなく火を通さずに食べられるメニューにも使うこと。

こうすることで、加熱によって減少してしまう酵素などもしっかり摂ることができるので、おすすめです。

私は先日、かいわれ大根の糠漬けにトライしてみました。

かいわれ大根をキッチンペーパーに包んで1日漬け込むだけなのですが、辛味そのままの大人の一品が出来上がりました。

難点をひとつ強いて挙げるとすれば、糠床が水っぽくなってしまうので、かいわれ大根を漬けた後は糠や米糀などお好みで足す必要があるところでしょうか。

秋から冬にかけての健やかさの土台作りに、お嫌いでなければ、大根やカイワレ大根をメニューに加えてみてはいかがでしょうか。

何かしらのヒントやキッカケにしていただけましたら幸いです。

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秋の夜長にオーロラ鑑賞。

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長年愛用しているペーパーナイフが2本ある。

そのうちの1本は、当時の仕事仲間が海外旅行のお土産に贈ってくれたものである。

とてもシンプルなデザインで握ったときの馴染みも良く、気付けば両の手の指の数では足りないほどの年月を共にしている。

確かあのときの同僚は、長期休暇を取ってオーロラを観に行ったのだ。

そのオーロラ観測旅行へ行く数か月ほど前だっただろうか。

同僚は私をランチに誘い、一生に一度でいいから肉眼でオーロラを観るのが子どもの頃からの夢だと熱心に話してくれた。

ここまで熱い気持ちにさせてくれるものがあるなんて素敵なことだと思いながら、ランチを楽しんでいると「だからお願い、2週間休んでもいいかな」と切り出されたと記憶している。

同僚の仕事が私に丸ごと圧し掛かることを気にしての申し出だったのだろうけれど、断る理由などどこにもなく、それから数カ月後、同僚は子どもの頃からの夢を叶えるべくフィンランドへと旅立った。

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オーロラと一口に言っても、条件の組み合わせによって色や形状は様々で、どのような条件下で現れるのか分かっていないそうなので、刻々と表情を変える雲と同じように、オーロラとの出会いも一期一会である。

私には同僚ほどの熱量はないのだけれど、あの頃にオーロラの話をこれでもかというほど耳にした影響からか、オーロラ画像に目が留まるようになっている。

先日も、SNS上で様々なオーロラ画像を目にして、オーロラのシーズンの始まりから秋を感じたところである。

オーロラと言うと、北欧やカナダなどへ行かなくては見ることができない印象があるけれど、稀に北海道でも観ることができると言われている。

オーロラは大気発光現象の1つなので、太陽活動が活発なときが狙い目なのだそう。

太陽活動が活発なときというのは、太陽の表面で大きな爆発が度々起こるのだけれど、このときに強い太陽風が地球に向かって吹いてくる。

そして、この太陽風が磁場を乱したときに、「とても大きな」と表現するべきか「立派な」と表現するべきか、見応えあるオーロラが発生するそうだ。

そして、日本で観られるオーロラは緯度の影響なのか、その多くが赤い色をしており赤気(せっき)と呼ばれているという。

日本書紀の中にも、この赤気(せっき)のことが記されているのだけれど、今のように眠らぬ日本ではなかった当時、漆黒の空に広がる赤気(せっき)は、先人たちの目にはどのように映ったのか、少し気になるところである。

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近年では、インターネットを介してライブカメラに映るオーロラの映像をリアルタイムで観ることも可能だといいますし、今年のオーロラをSNSで目にすることも可能です。

本物に勝るものはないけれど、オーロラの世界に触れる方法はたくさんありますので、秋の夜長にオーロラ鑑賞などいかがでしょうか。

中には画像を探すことが難しいと言う方もいらっしゃるかと思いますので、今回の挿入画像はオーロラを選んでおります。

ちらりとお楽しみいただけましたら幸いです。

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同じだけれど同じじゃないの。

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その日は、朝から雨がぱらついていた。

ベランダに出ると雨の匂いと適度な湿度が感じられた。

見上げた空にはグレー色を帯びた雲が広がっており、その雲は「ここからは、ひと雨降る毎に秋が深まっていく」ということを知らせるサインのようにも見えた。

しばらくの間、これ幸いと曇り空の下で軽めの日光浴を楽しんでいると、東側の空に広がる雲の隙間から太陽光が差し込み、ベランダの床にガーデンテーブルの影が伸びた。

随分と過ごしやすくなったけれど、うっかり日焼けで妙な焼け跡を肌に残してしまわぬよう、室内へと戻った。

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遅く起きた日のブランチに選んだのはホットケーキである。

たまには、甘いブランチも悪くないだろう。

冷蔵庫や冷凍庫内を覗き込み、添えるソースには冷凍フルーツを使うことにした。

そういえば、今は亡き私の恩師であり友人でもあったフランス人女性の自宅に泊まらせていただいたときにも、2人でブランチにとホットケーキを焼いたことがある。

彼女は美味しい料理を作るのだけれど、その手順はいつも豪快で大雑把で、私はそんな彼女にいつも驚かされていた。

しかし、今思えば、あの豪快かつ大雑把な言動に、慣れない土地で暮らすことに対する緊張を、ほぐしてもらっていたのかもしれない。

いや……、豪快すぎて、そこに付いていくのに必死で、緊張する間なんて無かったとも言えるのだけれど。

とにかく、彼女と過ごす時間は穏やかな時間というよりは、毎度とてもスパイシーな楽しい時間だったように思う。

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あの時は、確か、私が持参したメイドインジャパンのホットケーキミックスを使うことにしたのだ。

実家の母が送ってくれたものだったのか、日本食品を扱うお店で見かけて恋しくなり自分で購入したものか、もう記憶も曖昧だけれども、私が持っていたものである。

彼女は、こういった初めてのものに興味津々で、まずはパッケージに書いてある日本語を指さし、ここには何と書いてあるの?と尋ねてくるのである。

私が言葉に詰まると、これも練習だからと言って英語やフランス語の辞書を手渡してくれるのだけれど、その辞書の中身はもちろん全て英語やフランス語で記されている。

ここは、師という立場の彼女から私への愛ある指導なのだけれど、これがなかなかハードな時間であった。

あの時である。

ホットケーキという呼び名が通じないことを知ったのは。

私にとって子どもの頃から慣れ親しんでいるホットケーキはホットケーキでしかなく、ホットケーキミックスはホットケーキミックスでしかないのだけれど、本来、ホットケーキとパンケーキは概ね同じものである。

しかし、日本では、この二つに緩やかな線引きがあるのだ。

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ホットケーキはデザートで食べられることが多いため、生地にはお砂糖が加えられており、生地そのものに甘みを持たせ厚めに焼きあげる。

一方のパンケーキは食事として食べられることもあるため、生地にはお砂糖は使われておらず甘さを控え目で、ホットケーキよりは薄く焼きあげて、合わせる食材やソースで如何様にもアレンジができるように作られている。

当時の私は、短時間でここまでの情報を得ることが出来なかったのだけれど、少し格好をつけてしまい、日本人は細かく分類しているのだと説明したように思う。

あの日から、随分と年月が経ってしまった。

今の私であれば、彼女の素朴な疑問に対して、あの時よりも、もう少しはマシな答えを返すことができるのに。

ホットケーキミックスを使ったホットケーキの美味しさと手軽さの虜になった彼女のことを思い出しながら食べた、この日のブランチは、少しばかり懐かしい味がした。

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妖艶で艶やかな毒が知らせる秋のはじまり。

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外出先でスマートフォンが鳴った。

友人だったこともあり、周りの騒音を気にせず出た。

すると付き合いが長い友人の第一声は、「随分と涼しくなったってことだね」であった。

私だって暑くても必要とあれば腹を決めて外へ出る。

しかし、必要でなければ太陽と入れ替わるかのように、日が落ちてからの外出が増えるため、友人は、真昼間に外出しだした私の様子から季節の移り変わりを感じたようだ。

具体的な日取りは決まらなかったけれど、そろそろ、安全地帯を選んで会おう。

そのような希望を交えた約束をして電話を切った。

幾つかの用事を済ませ、あとは帰宅するのみだったけれど、やはり過ごしやすい季節になったのだろう。

自然の空気に触れてから帰宅しようと思い立ち、騒音から離れられる川沿いの道へと向かった。

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橋の上に立ち、先まで伸びる川を眺めていると、所々に曼殊沙華(まんじゅしゃげ/まんじゅしゃか)が揺れていた。

遠くからでもそれだと分かるのは、あの妖艶で艶やかな赤色が持つ力と存在感であるように思う。

曼殊沙華(まんじゅしゃげ/まんじゅしゃか)という呼び名は、もともとサンスクリット語だそうで、天界に咲く花という意味なのだとか。

他にもとても多くの呼び名がある花だけれど、お彼岸の時季にピタッと合わせて咲くことから日本では「彼岸花(ヒガンバナ)」とも呼ぶ地域が多い。

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不思議な雰囲気をまとっているのは見た目だけではなく、その成長過程も不思議なことで注目されることがある。

多くの植物は発芽から始まり、茎や葉が成長し、蕾を付け、花を咲かせ、実を付けて、その一生を終えるけれど、曼殊沙華(まんじゅしゃげ/まんじゅしゃか)は、いきなり蕾を持った姿で発芽する。

これだけでも十分に不思議植物に認定できるのだけれど、一斉に開花したと思ったら、いつの間にか跡形もなく、その場から姿を消すという潔さ。

しかし、ここで終わりではなく、ニットやマフラーの温かを心地良いと感じる頃になると、地面から葉っぱだけをひょっこりとのぞかせて晩秋から冬の間に太陽光をたっぷりと浴びているのだとか。

冬を越せるのだから、そのままの姿で秋を待っても良さそうだと私は思ってしまうのだけれど、曼殊沙華(まんじゅしゃげ/まんじゅしゃか)は、春になると再び、その場から姿を消し秋がくるまで私たちの前に姿を見せることはない。

毎回姿を消し、種もない状態でどこから現れるのか。

種を持たない曼殊沙華(まんじゅしゃげ/まんじゅしゃか)は、ひと目に付かない土の中で球根を増殖させており、そこから蕾を持った状態で一斉に発芽するそうだ。

この、個性的な性質から、曼殊沙華(まんじゅしゃげ/まんじゅしゃか)は、クローン植物に分類されるという。

曼殊沙華(まんじゅしゃげ/まんじゅしゃか)が、部分ごとに一斉に咲き出す様子をミステリアスに感じることがあるけれど、あれはクローンである証ということのようだ。

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そのミステリアスな曼殊沙華(まんじゅしゃげ/まんじゅしゃか)の球根には毒があるという話は、有名だけれど、それでも完全に撤去されずにいることには理由がある。

今でこそ、鑑賞用にと自宅のお庭や花壇などに植えて楽しまれているけれど、畑や田んぼ、墓地などの側に植えられている花という印象を持っている方も多いかと。

これは、モグラやその他の獣たちに農地や農作物を荒らされぬよう、土葬を行った墓地を獣たちが掘り返してしまわぬよう、対策としてそのような場所に植えられていた花だったことが原因のようだ。

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危険な植物だからといって完全に撤去してしまうのではなく、相手のことを良く見て良く知り、「毒」とも程よい距離感で共存していた先人たちの姿から学ぶものは多くあるように思う。

そのようなことを思いながら川沿いを歩いたのだけれど、私は、やはり今年も幼き頃に見た光景を思い出し、曼殊沙華(まんじゅしゃげ/まんじゅしゃか)のあの妖艶で艶やかな赤色に怯んでしまうのである。

そろそろ、皆様のお近くでも曼殊沙華(まんじゅしゃげ/まんじゅしゃか)、彼岸花を目にできるかと。

その折には、今回の何かしらをチラリと思い出しつつ秋の訪れを感じていただけましたら幸いです。

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【お知らせ】

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幸せのレシピ集へ足を運んで下さっている皆様へ

こんにちは。

こちらで執筆させていただいております柊希(ひいらぎ)と申します。

2015年11月からスタートしました幸せのレシピ集ですが、今月末日をもちまして終了する運びとなりました。

正式なご挨拶は最終日にと思っておりますので、その時までは、これまでと変わらず、様々な話題を皆様とシェアさせていただければと思います。

幸せのレシピ集内へいただきますコメントへのお返事も30日が最後となりますが、

ワタクシ柊希へ非公開メッセージを送ることができるメールフォームは、しばらくの間使えるようにしてあります。

メールフォームからいただきましたメッセージへのお返事は、直ぐにとはいきませんが、メールアドレスなどに不備がなければ、

いただいた順に必ずメッセージメールをお届けしますので、よろしければご利用くださいませ。

※下記のページ内にあるメールフォームページをご利用ください。

※メールフォームは2020年10月31日15時を持ちまして終了しました。

※お返事は10月に入ってから順次、お届けいたします。

急なお知らせとなりましたが、まだ半月ほどの時間がありますので、最後までお付き合いいただけましたら幸いです。

柊希

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刻む時とここのそじ。

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コンビニの列に並んでいると、前のご婦人が店員に「電話で支払えるか試してもいい?」と尋ねていた。

手に握られていたスマートフォンには、瓢箪やダルマの根付けがいくつもぶら下がっており、ひと際目立っていたのはキティーちゃんの根付けだった。

失礼ながら、「何だか色々とお若い」と思った。

漏れ聞こえてくる話によると、息子さんに電子マネーの設定をしてもらっているそうなのだけれど、人が多い場所で試して失敗したら困るから、ゆっくり試すことができそうなタイミングを探していたとのこと。

ご丁寧に、後ろに並ぶ私にも急ぎであれば先にどうぞとお気遣いいただいたのだけれど、何となくその行く末を見届けたい思いが先に立ち、順番を待つことにした。

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ご婦人は店員に手順をひとつ、ひとつ確認しながらスマートフォンをかざした。

すぐに支払い完了を知らせるメロディーが鳴り、商品とレシートを手渡されると、興奮気味に「私にもできたわ、簡単ね、すごいわね、便利ね」と言った。

店員に、簡単で便利だし、お金に直接触らなくていからコロナウイルスの対策にもなると言われたご婦人は、何度も深く頷きながら「ここのそじでも、頑張って使ってみるものね」と言って出口へと向かっていった。

思わず店員と目が合い、お互いに声は出さなかったけれど「ここのそじ???」という空気があったように思う。

店を出た私は、店のすぐそばにある横断歩道で信号待ちをしながら「ここのそじ、ここそのじ、ここのそじ……」と頭の中で復唱した。

ふと、もしや三十路のバージョン違いでは?と思い調べると「ここのそじ」は「九十路=90歳」とあった。

9、90歳?

思わず、既に記憶から薄れかけていたご婦人の姿を急いで思い返した。

間違いなくご年配と呼べる女性ではあったけれど、私が思う90歳像からは色々と大きくかけ離れており、人生100年時代という言葉がとても現実味を帯びたものに感じられた。

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30歳を表す三十路(みそじ)という言葉があるけれど、他にも20歳から10歳刻みで二十路(ふたそじ)、三十路(みそじ)、四十路(よそじ)、五十路(いそじ)、六十路(むそじ)、七十路(ななそじ)、八十路(やそじ)、九十路(ここのそじ)とある。

数を10ずつ刻んで数えるときに「そじ」という言葉を使うのだけれど、三十路は10×3なので、3つの「そじ」ということで三十路。

九十路は10×9、9つの「そじ」ということで九十路と記される。

いつぞやかに、そう知りはしたものの、三十路以外の言葉は使う機会も見聞きする機会も無いに等しかったものだから、突然「ここのそじ」という響きを耳にしても直ぐには90歳に繋がらず、ご婦人の御年に気が付いたのは、姿が見えなくなってからであった。

日々を前向きに、しなやかに歩んでいる、人生の大先輩と言える世代の方にお会いすると、漠然としたものではあるのだけれど、大きな力のようなものを分けてもらったような気分になる。

もっと日々を楽しまなくては、そのようなことを思ったコンビニからの帰り道である。

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花火と完璧と窮屈さ。

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8月も終わろうとしている頃、外からドーン、ドーンと鈍い音が聞こえた気がした。

もしやと、慌ててベランダへ出てみると遠くの空に大きな花火が咲いていた。

テレビやインターネット越しではなく、肉眼で確認できるそれに分かりやすく心が躍った。

シンプルな定番花火から凝った仕掛けが施された花火まで、時間にして1、2分ほどだっただろうか。

短い時間ではあったけれど、漆黒の空に次々に咲く様子を前に、やっと夏が来たと思った。

今年は全国各地で、行われる予定だった花火大会がことごとく中止となり、夏の楽しみのひとつが来年の楽しみとして繰り越しとなった。

そのような状況もあり、この夜、予告なく打ち上げられた花火は、どこが主催したものなのか分からないままだけれど、主催者と花火職人の方々からの素敵なサプライズギフトだった。

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花火と言えば、今年は家庭用の花火の売り上げが好調だと幾度か見聞きした。

花火大会が無くなってしまった分、自宅で楽しむ回数や楽しむ方が増えたのだろうと思ったのだけれど、実際は家庭用花火のほとんどを中国から輸入しているからだという話で、

中国で花火を作るための基準が厳しくなったり、労働条件の見直しなどが影響したことで家庭用花火の価格が上がったのだという。

その点に関しては、安全な環境下で安全な花火を作っていただきたいので、多少の値上がりは致し方ないと思うのだけれど、私が驚いたのはこの話ではない。

子どもの夏休みと言えば、花火大会などで見る打ち上げ花火や自分たちで楽しむ家庭用花火も楽しみのひとつに挙げられると思い込んでいたワタクシ。

しかし現状は、年々、自宅で花火をしたことがないという子どもが増えているという話があるというのだ。

その理由は様々で、子どもの頃に花火で遊んだ経験が少ない世代が親になり花火がそれほど身近ではないだとか、花火よりもゲームという新しい形も選択肢に挙がるようになったこと。

他にも、都会暮らしの子どもたちは花火そのものを楽しむことができる場所が限られているため、気軽な楽しみとはならず、家庭用花火から遠退いてしまっているといった状況もあるそうだ。

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家庭用花火に「煙少なめ」という謳い文句が記されているものを目にする機会が増えているように感じたことがあったけれど、花火の在り方や楽しみ方も少しずつ変化しているということなのだろう。

確かに、煙モクモクの中での花火は一長一短でもある。

それでも、そのどちらも含めて夏の風物詩だと感じている私の目には、全てが完璧すぎる世の中は少し窮屈に映ったりもして。

既にいい大人なのだけれど、来年は久しぶりに家庭用花火を楽しんでみようかしらと思った夜である。

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秋の空と通用しなくなるサイン。

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エアコンの設定温度を一度上げた。

完全にオフにすることはできないのだけれど、秋が近付いてきているように感じた。

日常を見渡してみると、空が高く感じられる瞬間も増えつつあり、至る所に秋の気配があった。

その日は、お気に入りの大きなマグカップになみなみと注ぎ入れたルイボスティーを、零さぬように慎重にベランダへ運び出し一息ついた。

改めて見上げた空は高く、手を伸ばせば届きそうな位置にあったむっちりとした肉厚の入道雲は、いつの間にか、フワフワなうろこ雲に変わっていた。

残暑は厳しいけれど上空にある大気の乾燥は着々と進んでおり、雲が現れる位置も高くなっているのだろう。

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うろこ雲は、この呼び名以外にも「いわし雲」などと呼ばれることもあるけれど、この手の雲を目にするようになると鰯や鯖、秋刀魚といった青魚が収穫期を迎える。

そして、いわし雲が現れると鰯が大量に獲れる豊漁の兆しなのだとか。

しかし、先人たちが残してくれたこのサインも、通用しなくなりつつあるのかもしれない。

先日は、秋刀魚が獲れなくなり価格が上がっているというニュースを目にした。

鰯に続いて秋刀魚もかと、思った。

青魚好きとしては、秋刀魚に大根おろしと酢橘を添えていただく秋の定番メニューが幻メニューとなってしまうのは、困りものである。

鰯は小骨が多く足が早く生臭いというイメージが強いらしく、好みが分かれる魚だけれど、鰯と一口に言ってもその種類は300種類以上もあると言われており、多くの方が何かしらのカタチで口にしている魚である。

この鰯も、漁獲量が年々減っており、近い将来は幻の魚になるだろうと言われている。

そのような話題があがったとき、鰯は食べないから関係ないという方もいらっしゃるのだけれど、鰯は「海の米」「海の牧草」という異名があり、マグロやカツオ、その他の魚たちのエサでもある。

もし仮に、その多くの魚たちのエサである鰯が全く獲れなくなったとしたら……。

海の中の生態系は大きく崩れ、私たちにも食料難という危機がやってくることは容易に想像できることである。

そのようなことを思っていたものだから、この日の夕食のメインには秋刀魚に大根おろしと酢橘を添えていただく秋の定番メニューが浮かんだのだけれど、獲れなくなってしまう前に食べておかなくてはとも思った自分に笑ってしまった。

本当に必要なことは、そのようなことではないのだけれど、その意識が先に立ってしまうあたり、ワタクシ、まだまだである。

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青魚には夏のダメージや疲れを癒す栄養がたっぷりと含まれておりますし、良質なたんぱく質と脂は、美容や健康の土台づくりに欠かせません。

アレルギーがなく、お嫌いでなければ、近日中の夕食メニューにいかがでしょうか。

そうそう、冒頭のいわし雲の話に戻りますが、この手の雲が空に現れた時には豊漁のサイン以外に、雨が降るサインでもあります。

その日のうちに降り始めるという急なお知らせではないようですが、翌日から2日後辺りに降ることが多いので、お出かけのご予定がある方は念のため、折り畳み傘を鞄に忍ばせておくと良いのではないかと思います。

そろそろ秋の幕開けでございます。

小さな秋を見つけながら、今年の秋を今できる全力で楽しみたいものです。

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半化粧と秋支度。

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底に車輪が付いた移動式プランターがトラックの荷台へ積み込まれていた。

白いプランターの中には緑一色の植物が植えられていた。

見たことがある植物だったけれど、その名を思い出せぬままその場を通り過ぎた。

その後、1週間ほど経った頃だろうか、その植物が半夏生(ハンゲショウ)だったと分かった。

夏至の日から数えて11日目のことを半夏生(ハンゲショウ)と呼ぶけれど、この時季に花を咲かせ始めることから半夏生(ハンゲショウ)と名付けられた植物である。

それだけの特徴であれば記憶に強くは残らなかった気もするのだけれど、半夏生(ハンゲショウ)は、同じ呼び方で「半化粧」と記されることがある。

その所以は、通常は緑一色の葉に覆われている植物なのだけれど、花が咲く時期だけ葉っぱの半分が白く染まるからである。

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以前、夏の夜に花を咲かせる植物は、白い花を咲かせるものが多いという話に触れたことがあるのだけれど、半夏生(はんげしょう)もあの植物たちと同じで、葉っぱを白く染めることで虫たちに自分の存在をアピールし、受粉してもらう算段なのだとか。

この、葉っぱを半分だけ白く染める様子が、お化粧をしているように見えることから「半化粧」と記されるようになったという説があるのだ。

そして、面白いのは花を咲かせ受粉が無事に終わった後である。

もうお化粧する意味はないという気持ちからなのか、やはりスッピンが心地良いという気持ちからなのか、「半化粧」は白く色を変えた部分を緑色に戻し、本来の緑一色の姿である「半夏生」の姿に戻るのだ。

夏の日射しの下で目にする、緑と白のコントラストが美しい半夏生(ハンゲショウ)は、涼やかな美しさで目を惹くことを思うに、半夏生(ハンゲショウ)のアピール力は、虫たちだけでなくヒトにも通用するもののようである。

その日私が目にした緑一色の植物は、受粉が無事に終わりスッピンに戻った半夏生(ハンゲショウ)だったようだ。

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半化粧といえば、我が家には昨年の冬に購入したポインセチアがある。

小ぶりなものを選んだこともあり、短いお付き合いになるだろうと心の準備をしていたのだけれど、未だ健在で二回りほど大きくなった。

そのポインセチア。

当時は、これぞクリスマス色だと思わせるような赤色の葉を付けていたのだけれど、月日の経過とともに緑色の葉が増え、いつの間にかポインセチアの面影を持たぬ深緑一色となった。

しかし、ここ1週間ほどで全体がほんのりと赤く染まり始め、今度はポインセチアが半化粧の準備である。

日中の残暑に気持ちを引っ張られがちではありますが、涼しい時間も増えつつあり、蝉の鳴き声は秋の虫たちの鳴き声に変わり、自然界は着々と秋支度を始めている様でございます。

夏の名残りや小さな秋を感じつつ、夏と秋のあわいの一時を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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宙ぶらりんの季節と青汁のはなし。

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夏の日差しに、ほんの少しだけ秋色が混ざり始めた。

いつの間にか9月だものねと思うのだけれど、酷暑の残り香たっぷりの残暑によって、秋を思う気持ちが宙ぶらりんの状態となった。

植物も体内時計と気温差に戸惑うのか、先日は2枚だけ黄色から赤のグラデーションに染まった紅葉を見つけた。

青々とした紅葉と、ひと足先に秋色に染まりはじめた2枚とのコントラストは美しく、宙ぶらりんの季節の中で見る自然界のアート作品のようだった。

久しぶりに長距離を歩いて帰宅した私の喉はカラカラ。

帰宅後のルーティンを終えると、グラスを手にウォーターサーバーの前に移動し、喉を潤わせた。

喉を鳴らしながら飲んだ水は、あっという間に全身に染み渡った。

まだ飲み足りない感覚があり、スポーツドリンクにするか青汁にするか迷い、この日は後者を選んだ。

理由は、数日前に非常時用の食品チェックを行った際に賞味期限が近付きつつあった青汁を新しいものと交換し、たからである。

ローリングストックスタイルでの備蓄なので、食品チェックと言えるほど大袈裟なものではないのだけれど、いつもと変わらぬ日常下で入れ替えられるというのは、きっと思う以上に幸せなことである。

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幸せのレシピ集内でも、時折登場する青汁なのだけれど、青汁は随分と飲みやすいものへと進化している。

その栄養バランスに惹かれて召し上がっている方もいらっしゃるのではないだろうか。

私も、その栄養バランスが気に入ったことから非常時用の食品のひとつに選んでいる。

毎日飲んでいるわけではないのだけれど、自分が気付かない買い物の癖からくる栄養の偏りを調整する目的や、

食欲が増す秋から年始辺りの時期に、ビタミン不足による代謝の低下を招かないために、時折口にしている。

青汁は、ケールで作られているもの、大麦若葉で作られているもの、両方がブレンドされているものなど様々なタイプのものがある。

基本的に含まれている栄養成分は同じだと言われているのだけれど、強いて違いを挙げるとするならば、ケールは大麦若葉の数十倍のビタミンCやカルシウムが含まれており、一方の大麦若葉は、ケールよりもたんぱく質や食物繊維、鉄分などが多いのだとか。

これは、いつだったか薬剤師の方との雑談の中でいただいたアドバイスなのだけれど、様々な栄養を少しずつ押さえておきたい場合は、ケールに含まれている栄養のほとんどを含んでいる大麦若葉を選ぶと良いのではないかとのことだ。

私は、強いこだわりを持って選んでいるわけではないため、どちらのタイプも購入することがあるけれど、このアドバイスをいただいてからは大麦若葉を手に取る機会の方が多いように思う。

ただ、中には慎重に選んだ方が良い方もいらっしゃる。

それは、甲状腺機能に心配をお持ちの方である。

食材の由来まで調べてから口にする方は少ないと思うけれど、ケールはキャベツやブロッコリー由来の野菜で、甲状腺ホルモンの合成を阻害する働きを持つ成分が含まれているので、体に良いものではあることに間違いはないのだけれど、青汁選びも慎重に行う必要があるようだ。

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嬉しい効果などに惹かれて飲み始めるとき、ついついおすすめされている用量の最大量を連日飲み続けてしまうことがありますけれど、体に良いものでも過剰摂取は、体への負担になる場合もありますし、これだけを摂取していれば全てOKということでもありません。

これはサプリメントや栄養補助食品に限ったことではなく、私たちが口にしているフレッシュ食材全てに対しても言えることです。

今日口にしたものは3ヶ月先の自分の体を作るとも言われておりますので、好物も欲しい効果も欲張りすぎず、上手に楽しんでいただければと思います。

何かしらのヒントやキッカケの種にしていただけましたら幸いです。

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