皆でお酒を楽しむ機会が多いこの時期、
大勢で集まってホームパーティをする方も多いのではないでしょうか?
ある時、私の友人がポロリと本音を漏らした。
「ホームパーティーだと、あまりお酒を楽しめないんだよね。」と。
「え?どうして?いつもソフトドリンクが良いって言ってるよね?」
「実は、お酒は飲めないわけではないけれど
甘いお酒しか飲めないから自分だけの為に甘いお酒を用意するのも悪くて
何となく遠慮しちゃうんだよね」
というのだ。
いつもテンション高くソフトドリンクを選ぶ彼女がそんな事を思っていたなんて
悪いことをしたな、と思った。
しばらくして私は彼女にももっと楽しんで欲しくて“アイスワイン”を準備した。
“アイスワイン”とは、
自然の力で凍ってしまった完熟葡萄から造られるワインの事。
とっても甘味が強いのでデザートワインとして出されることが多い。
アイスワインは偶然の産物だ。
ドイツのある町のある年の冬、そこは予想外の霜に見舞われた。
愛情を注いで育てあげた完熟葡萄は霜のなか放置されて凍ってしまったのだ。
葡萄を処分するに捨てられずワインを造ってみたところ、
甘みの強い、香り豊かなワインになったそう。これがアイスワインの始まり。
甘く完熟した葡萄の果汁は寒さによって凍り、
その実を凍ったまま搾汁した為に果糖分が凝縮され、濃くて強い味わいなったのだ。
アイスワインは天候に左右されるため生産性が低い。
このため、希少性が高く、高級ワインとされている。
今の技術では人工的にアイスワインを作ることはできるけれど、
やはり自然の力は計り知れないものがあり、
その年ならではの味を楽しめるのはアイスワインの醍醐味だろう。
近年、地球温暖化が進んでいるため
本来のアイスワインは少しずつ減っているのだとか。
このような所にも温暖化の影響が及んでいると知ると、少々複雑である。
売られているアイスワインはとても小さなボトルですが
こっくりとした甘味が濃く、フルーティーな香りは
デザート全般、フルーツ、チーズ全般とも合います。
チーズがお好きな方は是非、チーズとご一緒に。
もちろん、楽しみ方は自由なので食前酒として楽しむのも良いでしょう。
冷やしすぎると香りがぼやけてしまうので、
召しあがる1時間程までに冷蔵庫で冷やすくらいでOKです。
様々な偶然から生れたとても貴重な*甘露のようなアイスワイン。
機会がありましたら、年の瀬のご褒美に、じっくり味わってみてはいかがでしょう?
友人はというと、すっかりアイスワインの虜になりました。
*甘露(かんろ)とは、天上の神々が召し上がると言われているお酒です。
画像出典:https://jp.pinterest.com/ Priscila Ilogti | delightful kitchen | Página 2