今回は、東京名物のひとつ、浅草土産の王道スイーツ「舟和の芋ようかん」のお話しです。
羊羹と名乗ってはいるけれど、
私の中で、「舟和の芋ようかん」は羊羹カテゴリーには入っていない。
更には和菓子カテゴリーにも入っていないのだ。
着色料、保存料、香料は一切使われておらず、
お芋(甘藷)と砂糖、少量の食塩だけで作られている。
甘さ控えめで、お芋感たっぷりの素朴さがたまらない。
シンプルな材料で丁寧に作られているからだろう。
和菓子というカテゴリーに縛られずに楽しむ事ができる所も魅力のひとつだと思う。
舟和がおすすめしている食べ方の一つに
「バターで焼いて洋菓子のように味わう」と言うものがある。
おすすめしている食べ方である事は知っていた。
きっとハズレないであろう事も容易にイメージできた。
しかし、そのままの味わいに満足していた私は、
その素敵なご提案を長い間スルーしてきたのだ。
数年程前だったと思う。
舟和の芋ようかんを久しぶりに購入した。
濃いめのお煎茶といただくか、それともほうじ茶だろうか、と思いを巡らせていたところ、
ふと、単なる気まぐれで「(バターで焼いてみるか)」と思ったのである。
思ってしまったら最後、止められない。
焼いた芋ようかんに添えるバニラアイスを購入し自宅へと急いだ。
熱したフライパンにバターを入れる。
しゅわわ~という優しい音と共にバターのコクのある香りがキッチンに広がる。
ちょぴり幸せな香りだ。
バターが焦げ付かないように火加減に注意しながら芋ようかんを投入する。
時間をかけてゆっくりと全面の色が変わるまで丁寧に焼いてみた。
バターの香りに香ばしさとお芋の甘い香りが加わり、期待感が高まった。
それなのに、すぐそばに置いてあるプレーンな状態の芋ようかんに手が伸びそうになり、
その気持ちをグッと堪えてプライパンに意識を集中させた。
表面にこんがりとした焼き色が付きカリッと焼きあがったタイミングでお皿に取り出し、
準備していたバニラアイスを添えて
軽くシナモンパウダーを少しふってみた。
これまでならば、※黒文字を使う所だけれども、
その日はフォークとナイフで洋風芋ようかん初体験だった。
※黒文字とは和菓子をいただく時に使用する和風ナイフのような
和風フォークのようなもので、木製や竹製のものがあります。
美味しい、あっと言う間に一本ペロリとたいらげてしまった。
スイートポテトのようだと言う方もいらっしゃるのだけれども、
私はスイートポテトとは違うように感じた。
未だにぴったりとくる表現が見つからず、とても歯痒いのだけれども
洋風スイーツに変身することだけは確かだ。
和菓子が苦手な方にお出ししても喜んでいただける味だと思うのだ。
もしくは、ご年配の方にはプレーンの芋ようかんを楽しんでいただいて、
子供は洋風にしてもいいのかもしれない。
特に寒いこの時期、温かいお部屋で食べる
あったか洋風スイーツと冷たいバニラアイスの組み合わせは間違いないだろう。
私はあの日からプレーンバージョンと洋風バージョンで楽しんでいる。
もし、私と同じように
“知ってはいるけれどスルーしている”という方がいらっしゃったら
一度お試しあれ。楽しみが広がります。
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