「みかん」が美味しい季節になった。
寒くなってくると「みかん」に手が伸びるのはどうしてなのだろうか。
子供の頃はダンボールに入った「みかん」を目にする事は然程、珍しいことではなかったけれど、
今の私は「みかんの箱買い」をする機会は無い。
それが理由なのかどうか定かではないのだけれど
スーパーで美味しそうな「みかんの山」を見かけると、
ちょっとだけワクワクッとして吸い寄せられてしまったりなんかする。
日本人のDNAの中には、
「冬になったら「みかん」をたべる」とでも記されているのだろうか、と思ってしまう。
初物として「みかん」を購入する時、私はすこし緊張する。
だって、ひと袋の中に結構な数入っているのだもの。
酸っぱいものや、
味の薄いものに出会う事だってあるじゃないか。
もちろん、手塩にかけた「みかん達」を送り出してくださった経緯には感謝するのだけれど
それとこれとは話が別、でもあるのだ。
きれいで美味しそうな艶肌みかんに期待を膨らませて
皮に鼻を近づけると漂う、爽やかで甘い香り。
癒される瞬間だ。
早く口にしたい一心で少しばかり雑になる皮むきを経て
ひと房、パクリと口に放り込む。
うんともすんとも言わないような果汁が、じわ~っと口の中に広がった時の
あのやるせない気持ち。
誰か分かってくれるだろうか。
ゴクリと飲み込みながら無言で隣のパートナーをチラ見してみる。
きっと、同じような事を感じているのだろう、無反応だ。
淡々と消化作業のように「みかんの房」を口に放り込んでいる。
「甘くないね」
「うん、甘くないね」
あぁ~、会話が「みかん果汁」とどんぐりの背比べじゃないか。
味気ない。
ここでびっくりする程に甘かったり、
眉をひそめる程に酸っぱかったりしたのなら、
違う盛り上がり方もあったのだろうけれど、
ある意味「みかん」に同調してしまった私たち。
その状況で、パートナーが2個目に突入した。
なかなかのチャレンジャーだと、私は心の中で敬意を表した。
ん?様子が違う。
チラ見した私と目があったパートナーが言う。
「甘い、あたりだ」
さっきよりも「みかん」を放り込む指先が軽やかに見えたのは私の気のせいだろうか。
「よかったね」
そう言ってはみたものの、そんな事は思っていないワタクシ。
このままでは、私は私のデザートタイムをしめることができないじゃないか。
もう一度、慎重に「みかん」を選んだ。
今度は艶肌にも爽やかな香りにも惑わされないんだから、
そんな意気込みと共に、ひと房を口の中に放り込む。
撃沈した。
まぁ、こんな日だってある。
私が「あっま~い、みかん」に出会えたのは、それからしばらくしてからだった。
寒い冬、美味しいみかんでビタミンCを補給して笑顔でお過ごしくださいませ。
あなたの手にした「みかん」がアタリでありますように☆
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