幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

ペーパーナイフで侍気分、アイテムの使い道は人それぞれだ。

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随分と前からコスト削減の手段や地球温暖化を食い止める手段として

ペーパーレス化が課題に挙げられているけれど、

生活の中から紙が減ったような感覚は無い。

その証拠に、毎日ポストの中に何かしらの封書が入っている。

必要なものもあれば、廃棄する方が大変だ、と感じてしまう物も少なくはない。

休みの日にまとめてシュレッダーにかけるのだけれども

あっという間にゴミ袋がいっぱいになってしまうのは困りものだ。

今日もまたポストを覗き込み、届いている封書を手に部屋へ戻るのだった。

 

ペーパーナイフを手に、届いた封書を順々にシュッと開封する。

私のペーパーナイフは、

お手入れが行き届かず随分と古ぼけてきたのだけれど

気付けば、20代前半からの長い付き合いだ。

シンプルなシルバーカラーのナイフで頭の方にはシェルモチーフが付いている。

切れ味は、あの頃から変わることなく今も良好で、

封書を開封したり、

紙を切り分けたり、

ダンボールを開封する時にも重宝している。

たまにはお手入れをしなくては、そう思いながら、ある日の出来事を思い出した。

 

友人の子どもが私のペーパーナイフに興味をしめしたのだ。

私は、その子が見ていない事を確認し、

こっそり、素早く使って所定の位置にしまったはずなのに

しばらく経った時、

その子は私のペーパーナイフを手に「これ、したい」と言って見せたのだ。

 

いつの間に?

どこから取り出したの?

 

つい、危ないからと、やんわり取り上げてしまいそうになったのだけれども、

興味を持っただけで、悪いことはしていない。

取り上げる事に少し躊躇した私は、

大人の道具だから気を付けて使わなくてはいけない事を話し、

ひとつだけ、未開封の封書を開けてもらう事にした。

私の手も添えて、一緒にシュッと。

味をしめたのか、もう一回シュッとしたい、とせがまれる。

封書を探し、これが最後だという約束を交わした後、再度シュッと封をあけた。

次の瞬間、彼が言ったのだ。

 

「あけたでござる」

 

え?“ござる”って何?

私は思わず吹き出して笑ってしまった。

笑われたのが気に入らなかったようで、

私は少しばかり彼のご機嫌を損ねてしまった。

「笑ってごめんね。どうして、“ござる”って言ったの?」と尋ねると

ペーパーナイフを指さして「剣だから」と真顔で答える。

「(ほぉ~、彼にはこれが剣に見えるのか。剣から侍をイメージしたらから「ござる」か。)」

なんでも保育園にお侍さんの絵本があって、

彼はその絵本が大好きらしいのだ。

まだやりたいと駄々をこねる彼は、

ペーパーナイフをママに取り上げられてからも、

エアーペーパナイフを手に和とも洋とも言い難い独特なフォームで

シュッ、シュッと呟きながら一人楽しそうに遊んでいた。

それを眺めながら私たちは、

「平和だね~、エアー侍、飽きないね~」としばし穏やかなティタイムを過ごすのだった。

 

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