待ち合わせ時間まで余裕がある、となれば私が向かう先は書店だ。
まずは、店内を軽く一周ぐるりと回る。
新設されたコーナーなどをチェックし、その日の優先順位を決める。
自分が欲しい情報をざっくり収集したところで、
おきまりの写真集コーナーへ向かう。
今日の私のアンテナは何をキャッチするのか、何をキャッチできるのか楽しみだ。
この日、私の目に飛び込んできたタイトルはこれだ。
『パラレルワールド御土産帳』
想像力が掻き立てられる、シンプルなタイトルに胸が高鳴る。
少し上の段に置いてある写真集。
背伸びをしてみるが、引き出すには安定感が足りない。
辺りを見回して、この書店に点在している木製の脚立を持ってくる。
一段、一段、踏みしめて登ると、お目当てのタイトルと目線が合う。
小さいサイズのそれを、両手で引き出し、脚立から飛び降りた。
いけない、ここは自宅ではない。
大人は丁寧に一段ずつ降りなければ……と辺りを見回した。
パラパラと捲った先にあったものは、
なんとも不思議な商品が丁寧にひとつずつ紹介されている。
パラレルワールドとは、
この世界とは別にある、もう一つの世界。
この世界とは別の世界があったなら、と自由に楽しく妄想できる世界です。
そのような、別世界にある品物をお土産と称して
カタログのように紹介している写真集なのです。
私たちの世界にもある見慣れたビジュアルの商品なのですが
よく見ると、色々と違っているんです。
こんなものがあったら楽しいだろうな、便利だろうな、と思うものや
アナログなのにデジタルなちぐはぐさが面白かったり、
ふざけているだけだったり、
見ているだけで、突っこみどころ満載な品々です。
こちらは、【書籍データ圧縮機】
大量の本が、小さな豆本になってしまいます。
これだと、置き場所に困らなくていいけれど中身を読むのに苦労しそうですよね。
こちらは【地図プリンター】
地球儀の気になる場所にポインタを合わせてボタン操作すると、
その場所の地図が印刷される、Google Mapの祖先、なのだとか。
私はこの発想力が大好きです。
大人が一見無駄とも思えるようなものを真剣に作った先に広がる自由な空間には夢があるなと思うのです。
こちらを制作したのは、広告美術を制作する『パンタグラフ』。
CMやアニメーションなどで知らないうちに『パンタグラフ』作品に
触れている方も多いのではないでしょうか。
硬くなった頭の中をほぐすのにも一役かってくれますし、
お子さんと一緒に自由な発想で眺めるのも楽しそうですね。
私が最近出会った、ちょっと不思議な写真集のお話しでした。
関連リンク:http://www.pangra.net/index.html