皆さんは南部鉄器をご存知でしょうか?
南部鉄器とは盛岡の伝統工芸品です。
始まりは十七世紀中頃に南部藩主が京都から盛岡に釜師を招いて、
お茶の湯釜を作らせたのが始まりなのだそうです。
南部鉄器の製品には急須やお皿などがありますが、
陶器や磁器の急須と比べると耐久性に優れています。
また、急須の内側がホーロー加工されていないものでお茶を淹れれば、
鉄分補給することができることも認められており、
貧血になりやすい女性にとっては嬉しい効果をもつ、魔法のような急須です。
更には、南部鉄器に使われている鉄にはカルキ(塩素)を除く効果があるので、
水道水の味が、柔らかく、まろやかな味に変わることでも有名です。
ですから、南部鉄器の急須で淹れる日本茶や紅茶、
ケトルで沸かしたお湯で淹れるコーヒーはまろやかな味わいになるのです。
この日本を代表する伝統工芸品のひとつである南部鉄器ですが、
日本だけではなく、海外でも評価を高めているのです。
私も海外の友人に南部鉄器のことを訪ねられることがあるのですが、
きちんとしたシチュエーションでの贈り物として選ばれているだけではなく、
フランスパリのカフェやホテルなどでも南部鉄器のティーポットで
紅茶をお出しているのだとか。
「南部鉄器の良さは知っているけれど南部鉄器の急須って、
おばあちゃんのお家にあるような急須じゃなかったかしら?」
と思われている方、いらっしゃいますか?
南部鉄器も素敵に進化しているんですよ。
特殊な手法でお化粧された南部鉄器のティーポットです。
まずは、画像をご覧ください。
これらのカラフルな南部鉄器を扱うのは、
南部鉄瓶カラーポット専用ブランド、”オドゥラ デ メール”です。
パリをはじめとした海外向けの限定商品だったのですが、
海外での人気が上がり、海外から日本へ広まるという経緯の商品なのです。
南部鉄器といえば渋くて重くて、
その重厚感がトレードマークのようでもありましたが、
しっかりとした存在感と、品の良さはそのままで、
まるで十二単を纏ったかのようなカラフルな色付けを施され
国内外の人たちを魅了しているのです。
決して和のテイストを抑えているわけではないのに、
和にも洋にも融合してしまう南部鉄器、
テーブルにポンと置くだけで、その場の空間が華やぎます。
私もお目当ての南部鉄器ティーポットがあるのですが、
お目当ての物が品切れであることが多いこと、
どのカラーも素敵すぎて、
眺めているだけで胸がいっぱいになり決めきれずにいること、
「どれにしようかな」と悩んでいる時間も楽しいということ、
などの理由で未だ我が家へお迎えできずにおります。
日本には素敵な伝統がたくさんあります。
少し残念に思うのは、
その素敵な伝統を外国の方々の方が知っていたり、
深く認めていたり、
日本人以上に「守っていかなくては」と思われていることです。
今回は、素敵な南部鉄器のカラーポットをご紹介させていただいたのですが、
日本にはこんな素敵な伝統があるんだな、
日本の職人さんたち、頑張っているんだな、
ということにも、ちょっぴり触れていただく機会にもなれば幸いです。
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