今年は申年ですね。
皆さんは、「申梅(さるうめ)」という言葉をご存知ですか?
私は子供の頃に、この「申梅(さるうめ)」の話を祖母から聞きました。
祖母が手際よく梅干しや梅酒を漬ける作業をしている横で、
見様見真似で手伝いをしていた時に、教えてくれたお話です。
干支が一巡するまでに12年、申梅(さるうめ)の話はすっかり忘れていたのですが、
先日、大きくてふっくらとした立派な梅干しを見かけて、
祖母の事と申梅(さるうめ)の事を思い出しました。
昔から申年には「梅干を漬けて、梅をたくさん食べなさい」と言われているのです。
日本人にとっては健康食品としても重宝されている梅。
特に申年に穫れる梅は大変縁起が良いものだといわれています。
どうして、このような事が言われるようになったのかと言いますと、千年以上も前の平安時代まで遡ります。
当時の天皇が疫病に苦しむ人々を梅を使って救い、
また自らが病で倒れた時にも梅干しと昆布茶によって快復したそうなのですが、それが申年だったそうなのです。
ここから、申年の梅(申梅)には薬効があると言われ広まったのだとか。
また、時を経て江戸時代に入ってからは、感染症のコレラが猛威を振ったり、飢饉が起きたりしましたが、
この時も申梅(さるうめ)の言い伝えが残っていた紀州藩だけは、
梅干のおかげで死者をほとんど出さなかったことなどが知られています。
そして、偶然にも飢饉の年が申年だったことも、現代まで「申梅(さるうめ)」のお話が残っている理由のようです。
梅は三毒を経つ、と言われている程、殺菌作用、抗菌作用、解毒作用にすぐれた食品です。
しかし、現代のように医学の知識などが無かった千年も昔から
梅干の薬効を効能を実感していた先人たちには感服です。
他にも「病が去る、厄が去る、不運が去る」と縁起もかついでいたようですね。
もちろん梅干の薬効は、特定の年に限らず有効であるのだけれど、
八百万の神宿る国というだけあって、言霊の力も上手に生活の中に取り入れていたのかもしれません。
このような出来事が現代にまで語り継がれている程に、梅は昔からお薬のように大切にされていたようです。
現代では健康ブームの流れの中、「減塩対策」に気を配る方も多くいらっしゃいます。
さすがに昔ながらの梅干しは美味しいけれど、今の私たちの食生活の中に取り入れるには塩分が高い気もしますよね。
ですが、減塩タイプの梅干しも豊富に出ていますし、ハチミツを使ったハチミツ梅干し、
かつお節をつかった風味豊かなカツオ梅干しなどもあります。
今年は申年です。
ご家族皆さんで、「申梅(さるうめ)」を味わってみてはいかがでしょう?
関連記事:
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/