友人とワインを飲んでいると
ワインに合う羊羹があるんだけど食べてみない?と言われた。
「(ん?友よ、何を言い出すんだ。)」
そんな心の声と共にキョトンとした顔でワイングラスに口をつけたまま友人に視線を向けた。
「なんて顔してるの」と笑う友人に
「ワインに合う羊羹?」とオウム返しすると、
「待ってて」と言い残して彼女はキッチンの奥へと姿を消した。
和菓子もワインも好きだ。
チョコレートとワイン、
スナック菓子とワイン、
様々なスイーツとワインの絵を思い浮かべてみるけれど
私の頭の中に「ワインと羊羹」の映像はひとつも無いようだった。
何度想像してみても想像し難く、
「何なんだ、それは何なんだ」と頭の中がワインと羊羹でいっぱいになった。
大好きなチーズをつまみつつ、ワインにニンマリしていると
友人が戻ってくる。
手にしている洋皿にはバゲットと、クリームチーズが乗せられていて
その横に薄くスライスされた羊羹?の様なものが並べられていた。
「これが、羊羹?」
「うん」
薄くスライスされたそれの中にはドライフルーツやナッツが練り込まれていた。
バゲットにクリームチーズ。
彼女がしようとしている意図が分かり、ちょっと期待大。
まずはそのまま羊羹を食べてみたのだけれど、
羊羹の甘さは控えめで、
どちらかと言えばドライフルーツやナッツの甘さや食感の方が目立つ印象。
そして和菓子と言うよりは洋菓子を食べているような感覚。
確かにワインを飲みたくなってしまいました。
次にバゲットの上にクリームチーズを乗せて、
その上にスライスしてあるドライフルーツ入りの羊羹を乗せてパクッと。
あんパンが美味しいのだから餡子とバゲットの相性はもちろん問題なし。
そこに、クリームチーズとドライフルーツが程よい酸味と爽やかさをプラスしてくれて
「これはアリだ!」と思いました。
この食べ方はお店の方が提案されているようでした。
羊羹と聞くと一般的な羊羹をイメージしてしまうけれど、これは別物です。
羊羹としてではなく、ワインのお供として出したい羊羹。
ただ、こういう非日常空間での初めての出会いは、
出会った時のシチュエーションやテンションも手伝って
ゲレンデの恋になる事もあるので注意が必要だ。
私は後日、改めてこの「ドライフルーツの羊羹」を試してみた。
結果、ゲレンデの恋は幻になることなく実ったのだ。
頻繁に食べる訳ではないのだけれど、
ワインを好きな友人が遊びにくる日には準備してみることにしている。
衝撃的な組み合わせに五感が刺激されるのも楽しいし、
心なしか皆、グラスの中のワインの減りが早いように思う。
伝統的な和菓子もいいけれど、こういう和菓子があっても面白い。
そんな出会いでした。
今回ご紹介した「ドライフルーツの羊羹」は「wagashi asobi」のもの。
二人の和菓子職人が
「一瞬一粒(ひとつひとつ)に想いを込めてつくる。」を理念として
作っている愛情いっぱいのお菓子です。
関連リンク:wagashi asobi