皆さんは南蛮菓子と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。
カステラ、金平糖、ビスケットなどたくさんのお菓子があるのですが、
その中に有平糖(あるへいとう、ありへいとう)というものがあります。
有平糖は、お砂糖から作る飴のようなものです。
和菓子屋さんを覗くとカラフルな色合いの手毬や組紐、流水を模した
美しいお菓子を目にすることができるでしょう。
「あるへいとう」の語源はポルトガル語で
砂糖を意味する「アルフェロア」という言葉なのですが、
同時の日本人が「アルフェロア」を真似た時に訛ってしまい
「あるへいとう」の響きで定着したようです。
お砂糖が高価なものだった時代は
限られた人たちしか口にすることが出来なかったのですが、
江戸時代に入ってお砂糖が出回るようになったため、
今のように繊細で美しいものに変わっていったのだそう。
有平糖は材料の配合や煮詰める加減が難しいだけではなく、
すぐに固まってしまう飴を出来立て熱々のうちに
練って伸ばして形成していくので熟練の職人さんの技が詰まったお菓子です。
数年に一度、全国菓子大博覧会といって、
和菓子を中心に洋菓子・スナック菓子等も含めた
お菓子の展示会(知って、見て、食べて、参加して、買うこともできるイベント)が行われています。
次回は2017年に三重県伊勢市で開催されます。
関連リンク:第27回全国菓子大博覧会・三重。お菓子がつなぐ「おもてなし」を世界へ
私は過去二回、兵庫県の姫路市、広島県広島市で行われたものに足を運びましたが
それはそれは美しい枝垂れ桜や藤の花やお着物柄などを模した飴細工が展示されていて
西洋から伝わったものが日本独自の発展を遂げ
日本の文化として、技術として定着している事が感じられました。
飴とは言いましても、お茶席でも使われていますので
お茶席でも使うものは飴を噛む音がしないように配慮された
お砂糖の配合が多く、溶けるまでの時間も短い、透明度の低いマットな印象ものと、
艶があって透明度が高く、口の中で時間をかけてゆっくりと溶けるものとあります。
今回は後者のタイプの有平糖の中でも、
全国にファンを持つ「紫野源水の有平糖」をご紹介します。
季節のお花を模した有平糖を出されているのですが、
特にファンが多いのは、そろそろ買い求める事ができる『桜の有平糖』です。
光にかざすと奥の景色が透けて見えるほど透き通っていて
キラキラとした輝きが美しいのです。
桜の花びらは淡いピンク色でまるでガラス細工のよう。
真ん中には黄色いおしべが再現されていますし、
瑞々しい若草色の桜の葉も繊細です。
透明なお皿に盛り付けるもよし、
白いお皿の上に桜を咲かせるもよし、
暗めのお皿に盛り付ければ、まるで月夜桜を眺めているかのようです。
「有平糖」は、和菓子が苦手な方でも楽しむことができるお菓子です。
そして春には春らしいものがたくさんお店に並びます。
おもてなしの締めなどに、器の中の、もうひとつのお花見、いかがでしょうか?
関連リンク: 紫野源水(むらさきのげんすい)〒603-8167 京都府京都市北区小山西大野町78−1/TEL: 075-451-8857
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