少し前に「ひな人形」の男雛、女雛の配置の由来をお話しさせていただいたのですが、
ひな人形の華やかさからはかけ離れた渋め目線のお話しだったように思うので、
今回は華やかにお祭り気分も上がるひな祭りの時に食べるあれやこれや、にスポットを当ててみたいと思います。
ひな祭りの話題が出ると、うちは男の子だから、とか、子供ももう大きいし、という声を耳にすることがあります。
確かに女の子の節句ではあるのですが、それだけではなくて、
春の訪れをお祝いして春を無事に迎えることができた事を喜んで、これからも皆が元気で過ごせるように願う機会でもあります。
とても素敵な機会だと思いますし、ひな祭りの時に食べるお菓子やメニューにも願いが込められているので
お好きなメニューをひとつでも召し上がって春を感じてみてはいかがでしょう?
【ひなあられ】
昔は、女の子たちがひな人形を持って海や山へ出かけていました。
これは、お雛様に春の景色を見せてあげる「ひなの国見せ」という風習だったのだそう。
今でいうピクニックやBBQに、子どもたちがお人形を持参するようなイメージでしょうか。
この「ひなの国見せ」の時に、春のごちそうと一緒にひなあられを持って行ったのが始まりで、
菱餅を砕いて作ったという説もあることから、一般的には菱餅と同じく緑、白、桃色でつくられます。
「ひなあられ」と言っても種類があり、関東のひなあられは、お米で作ったポン菓子に砂糖をまぶした甘いお菓子で、
関西のひなあられは、お餅でつくる「あられ」、しょう油味や塩味など、しょっぱいお菓子です。
私はどちらも捨てがたく、この時期は両方を準備して楽しみます。
皆さんのお好みはどちらですか?
【白酒、甘酒】
始まりは桃の花をお酒に浸してつくる「桃花酒(とうかしゅ)」が飲まれていました。
これは桃が100歳を表す百寿(ももじゅ・ひゃくじゅ)、百歳(ももとせ)に通じることからきているのだそう。
これが江戸時代に入ると「白酒」という、もち米や米麹にみりんや焼酎を混ぜてつくるものに変わりました。
白酒の他に「甘酒」も定番となりましたが甘酒は、お酒が飲めない方でも楽しめるもの、お酒好きの方が楽しめるもの、と2種類ありますので用途やお好みに合わせて選びましょう。
※甘酒の過去記事では甘酒の種類や効能についてご紹介しています。
【菱餅】
古代中国で食べられていた春の七草の一つで「ごぎょう」ともいう母子草(ははこぐさ)のお餅が日本でよもぎ餅となりました。
江戸時代には、ひしも実を使った白いお餅、明治時代には赤いくちなしを使った赤いお餅が加わって、私たちが知っている3色の菱餅になりました。
このお餅は重ねる順番が決まっていて、それぞれの色に意味があります。
下から緑→白→桃色の順に重ねるのですが、これは、白い雪の下には緑色の新芽が芽吹いていて桃の花が咲いている、春の訪れを感じられる頃の景色を表しているのだそうです。
また、生命力、健康の緑、清浄を表す白、魔除けの桃色と言われています。
【はまぐりのお吸い物】
3月は磯遊びの季節だったようで、ひな祭りには海の幸を供える習慣があったのだそう。
はまぐりは2枚の貝がぴったりと合い他の貝殻とは合わないことから、相性の良い結婚相手と結ばれ仲良く過ごせるように、という願いも込められています。
はまぐりのお吸い物を盛り付ける時には、開いた貝の両側にそれぞれ身をのせ将来の幸せを祈るのだそうです。
※1つの貝に2つ分の貝の身を乗せます。
いかがだったでしょう。
少し春が待ち遠しく感じられたでしょうか。
ひな祭りには縁がないなと思われていた方、今年は、ひな祭りで春をお祝いしてみませんか?
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