そろそろ夕飯の仕込みをしようかな、そう思いキッチンに立つ。
ぶどうの形を模したボトルに入ったバルサミコ酢を取り出すたびに思うことがある。
それは、いつか20年もののバルサミコ酢を使ってみたい、という
私の小さな夢のひとつ、だ。
イタリアを代表するお酢にバルサミコ酢というものがある。
ぶどうを絞って煮詰めていき、
異なる木でつくられた木樽から木樽へ移しかえながら
じっくりと熟成させて作る、とても手間暇がかかるお酢だ。
熟成がすすむほどに香りと甘みが増すバルサミコ酢は
熟成年数が上がれば上がるほど、お値段も比例する。
トラディショナーレと呼ばれる高級なバルサミコ酢になる為には
様々な条件を満たさなくてはならないのだ。
ぶどうの品種が決められていたり、
添加物を入れてはいけなかったり、
決められた地域で最低12年以上の熟成期間を経ていなければいけなかったり、
他にも色々とあり、その全ての条件をクリアできて初めてトラディショナーレとして認められる。
18年~20年あたり熟成されたトラディショナーレと呼べるバルサミコ酢は
少量を隠し味で使うくらいでも十分満足できます。
私はそのバルサミコ酢を自宅でも使いたいのですが、
日常使いするには勇気がいる価格で未だ実現しておりません。
ですから、自宅で使っているバルサミコ酢は早熟~中熟タイプのものの中から
日常使いできる価格帯のものを選ぶわけですが、
癖のある酸味がたつものがほとんどなのです。
そのまま使ったのでは食材がバルサミコ酢に負けてしまうので
『オリーブオイル+バルサミコ酢+だし醤油』を混ぜてドレッシングにしたり、
合わせる食材によっては
『オリーブオイル+バルサミコ酢+だし醤油+すりおろしニンニク少々』にすることも。
こうすると、バルサミコ酢の酸味が和らぎます。
それでも酸味が感じられる場合は「はちみつ」を加えるとマイルドな深みが加わります。
生野菜のサラダに合うので使いきれずにいるバルサミコ酢がありましたら
お試ししてみてください。
そして、私が一番よくする調理方法は、
バルサミコ酢を加熱して、手っ取り早く酸味を飛ばしてしまう方法です。
甘みが増しますので色々なお料理に使いやすくなります。
炒め物などの時にお醤油にプラスするとコクを出すことができます。
ちなみに私は、加熱してお肉のソースとして使います。
お好みのお肉を焼いて取り出したフライパンにバルサミコ酢を入れ加熱します。
バルサミコ酢の酸味が飛んだら、お砂糖を加えて、少しとろっとするまで煮詰めます。
塩、こしょうで味を調えるか、
バターを加えてコクを出すか、
その時のお肉との相性をみてソースの味を決めます。
このソースの場合は「はちみつ」だと味がぼやけてしまう気がして
私は「お砂糖」を使っています。
他にもお肉の煮込み料理などに使うのもいいですね。
普段使いのリーズナブルなバルサミコ酢も
このように、少し手を加えると酸味を抑えて、幅広く、美味しく楽しめます。
バルサミコ酢やオリーブオイルはお醤油との相性もいいので、
イタリアンを意識しなくても和食にも使える万能調味料です。
最後まで美味しく召し上がってくださいませ。