何気なくつけたテレビから聞こえてきた言葉に、
「日本人女性の平均寿命は９０歳近くなんですよ」 とあった。
キッチンへ向かっていた私は思わずテレビの方を振り返り足を止めた。
９０歳……。
自分自身のことを年齢だけは随分と大人になったものだ、
と思っていたけれど
そのような事を言われてしまったら、
私はまだまだヒヨッコではないか、と改めて思う。
日々のあれやこれやに、やすやすと項垂れている場合ではないようだ。
そう思う一方で、
本当に元気いっぱいに心と体の両方を存分に使って過ごせるのは
いったい、どれくらいなのだろうとも思った。
少しづつ体に現れる変化を感じながら、
その新しい自分とも無意識の中でバランスをとりつつ過ごしている。
そして、無意識の中で明日は当然のようにやって来ると思っている私がいる。
いや、やって来るとさえ思わないくらい、
明日が来ることを当然のことのように思っている。
心も体も元気でいられる時間は永遠ではない。
だから、日々をしっかりと踏みしめて過ごしたいなと思う。
踏みしめてとは言っても、
肩に力を入れて過ごすのではなくて
良いことも、ちょっと残念なことも、嬉しいことも、悔しいことも、
楽しいことも、悲しいことも、頑張ることも、休むことも、
思うようにいかないことも、びっくりすることも、
自分に起こる全てのことを、
受け止めて、感じきって、楽しんで、
その時は思うように気持ちの整理がつかない時もあるのだろうけれど、
それでも寝る前には笑って今日の私はこれで良し！よくやった！
と思える自分でいたいと思う。
そのような自分を保つためには心の栄養補給も必要です。
気持ちのいい晴れ渡った空を見て感動したり、
帰りに大好きなアイスクリームを買って帰って夜の楽しみにしてみたり、
夕飯を作りながら、
泡だて器をマイクに見立ててお気に入りの曲を歌ってみたり、
道端の桜の木の枝の小さな蕾を見つけて春を心待ちにしたり、
眠る前に、素敵な夢が見られますように、なんてお願いをしてみたり、
湯船の中で恥ずかしがらずに今日の自分の可愛いところを呟いてみたり、
家族や恋人、友達、愛する人たちに日頃の感謝を伝えてみたり、
いつもよりたっぷりめの化粧水でお肌にもご褒美をあげてみたり。
心の栄養とか、ご褒美と思うと
少し大きな事をしようと頭の中が動いてしまう事があるけれど、
日常の中にも栄養やご褒美はあるものだ。
日本人女性の平均寿命は９０歳近く。
日常の中に隠れたり、紛れたりしている「楽しい」や「嬉しい」を見つけながら
日常を本気で楽しみ始めたら人生９０年では足りないのかもしれない。
日本人女性の平均寿命は９０歳近く、
それは、長いのだろうか？短いのだろうか？
今の私に答えは出そうにない。
