4、5年程前から密かに追いかけているアーティストがいる。
彼女の名は「あんず」さん。
小さい物が好きだという彼女が手掛けるのは「くるみ」の殻の中に広がる世界。
全てが彼女の手によって作られるオールハンドメイドの世界は一見の価値ありです。
美術館へは何となく足を運び辛い、
何をどう見たらいいか分からない、
だけれども、何か刺激が欲しいな、素敵なものを見たいな、ワクワクしたいな、という日もありますよね。
今回は美術館を巡るような気持ちで「あんず」さんの世界を
自由にご堪能いただければと思います。
幸せのレシピ集の中で巡る小さな美術館のはじまりです。
作品の前に彼女の事を少しご紹介させていただくと
2003年秋から作り始めたオリジナルデザインのミニチュアテディベアが出発点のよう。
指先サイズの小さなテディベアを作るのは
それはそれは大変な作業だと思う。
彼女の作るあんずベアには「しっぽ」があり、
「純銀のペンダント」がついている。
これは、世の中にたくさんのテディベアがあるけれど、
自分が作るテディベアのどこかに自分らしさを加えたい、という彼女の思いの表れ。
純銀のペンダントも彼女が1つ1つ焼成、研磨している。
彼女に愛情をたっぷり注がれて生まれたテディベアは、
粘土などで作られたミニチュア小物とセットにして、ひとつの作品になることが多い。
クルミやよもぎなど様々な自然素材を用いてテディベア用の布を染めたり、と
こんなところまで?!と思うようなところにまで
彼女の愛情とこだわりがたっぷりなのだ。
彼女が作るパーツのサイズをご覧ください。
10円玉が巨大に見えてしまうくらい、
そのくらい小さなパーツを、ひとつひとつ、作っています。
しかも、ご覧いただいたとおり、
小さいだけではなく、その一つ一つがまるで本物であるかのように
表情豊かなのです。
草木は、その質感までも忠実に再現してありますし、
鳥やテディベア以外の動物たちも、
今にも動き出しそうなくらい生き生きとしているのです。
手作りの筒型容器の中には、
これも手作りのクマ型クッキーが12枚入っているのだそう。
筒に開けられた窓からは、ぎゅうぎゅう入っているクッキーが見えます。
透明な袋には青い粒が入見えますが、乾燥剤のシリカゲル。
もちろん、青い粒々も手作りです。
そして、これらの小さな小さなパーツたちが納められているのは、
これも小さなクルミなのです。
丁寧に割られたクルミの殻は開閉できるケースに仕立てられています。
くるみの中を覗くことができるように彫り模様が施されているものもあります。
小さいけれど、すべてが本物レベル。
だからこそ、開けた瞬間に感動以上の何かが手にした人の心を揺さぶるのだろうな、
と思っています。
ここまでの拘りで作られる作品ですので、
彼女の作品が購入できるのはヤフーオークションのみのようです。
そして、手にすることが出来る方は、ほんの一握りの方。
簡単に手にできるものではないのだけれど、
私は彼女の作品をネット越しに拝見して、
作品も彼女の思いも素敵だなと心を揺さぶられています。
クルミケースの作品だけではなく、
どんぐりのライトが点灯する、このような可愛らしい作品も過去にあったのだそう。
これから生まれる「あんずさんの作品」たちも楽しみです。
幸せのレシピ集の中で巡る小さな美術館、お楽しみいただけましたでしょうか。
指先の温度がすぐに伝わる、小さな小さな世界のご紹介でした。