突然ですが、これ、読めますか?
『ササササササササササ中』
答えは「サトナカ」。
これはクッキーのパッケージに使われているデザインです。
10個のカタカナの「サ」の文字で出来た輪の中に
「中」の文字が在るこのデザインは、
昔、伊勢の台所と言われていた河崎の字(あざ)、里中という場所で
実際に使われていたものなのだそう。
河崎は、伊勢神宮の食を司る豊受大御神(とようけのおおみかみ)を祭る豊受大神宮、
外宮(げくう)の神領地です。
その、ありがたい場所で作られているクッキーです。
時々、お伊勢さんへ足を延ばすのだけれども、
いつ行っても自然豊かで、緑がたくさんあって、素敵なところです。
お詣りも楽しみのひとつですが、
美味しいものをいただいたり、新しい何かを見つけるのも楽しいものです。
数年前のそんなぶらり旅で見つけたサトナカのクッキー。
きっかけは、ちょっとしたお土産にとパッケージ買いをしたのだけれど、
至るところに込められている思いも気に入って
時々手に取りたくなるクッキーのひとつです。
このクッキーを手掛けているのは、
マネジメントを担当の「はしもとゆき」さんと、
アーティストの「中谷武司」さん、
伊勢を愛するお二人のクリエイティブユニット『EMELON(エメロン)』です。
伊勢をもっと楽しく、面白く、その思いを様々な形で発信されています。
その中にあるものの一つが、サトナカのクッキーです。
昔からあるデザインに少し手を加えたパッケージデザインは
無駄が無く粋で素敵。
足し算していくデザインではなく、計算された引き算によって存在感を放っています。
『サトナカお結び』は、一番小さな『サトナカ』2箱分が入ったサイズ。
『サトナカ』は薄紙て包まれているだけなのですが、
『お結び』は伊勢和紙で包まれ、同じく和紙の紐でひとつづつ丁寧に結んであります。
見た目や手にした感じは、ボックスもクッキーも小さめです。
初めて通販などでお取り寄せされると「小さいっ」と言ってしまいそうなサイズです。
クッキーは男性の腕時計の文字盤と同じくらいか、
それよりも少し小さいサイズ、と言ったらイメージしやすいかと思います。
女性でもひと口でパクッと頬張れる、可愛らしいサイズ感。
ノーマルタイプの白いボックスには、
お塩、お米、お酒の3種類のクッキーが入っています。
このお味のチョイスにもこだわりを持たれています。
昔は商家にも立派な神棚があったそうで、
このサトナカクッキーは御神饌(ごしんせん)のうち「お塩、お米、お酒」を
モチーフにして作られているのだとか。
御神饌(ごしんせん)というのは神様にお供えする食べ物のことで、
稲穂、お米、お酒、お水、お塩、お餅、果実、お野菜、お魚、鳥などを指します。
単にクッキーとしてでなく、
この箱の中に小さな伊勢、日本の食の原点を見つけてほしいという思いも込められているそうで、
私はその思いにもグッと引き付けられました。
商品その物も大切なのだけれど、
そこに込められた作り手の想いやストーリー、背景があると、
受け取る側の気持ちも商品に対する気持ちだけではない気持ちも揺さぶられて
心地良いなと感じてしまいます。
とは言っても肝心なのは、そのお味。
まず、食感はサクサクほろっと口の中で優しく崩れていく
軽めのショートブレッドのよう。
口コミなどでは「バターがたっぷり」という言葉をよく目にしますが、
バターはしっかりと感じられますが、
海外のクッキーのようなずっしりとした重さを感じるバター感ではありません。
「塩」は、お塩のおかげで甘さが引き立っていて3種類の中では一番はっきりとしたお味です。
お塩加減も程よくて食べ応えのある一枚。
「米」はプチプチとした食感が面白く、香ばしい印象です。
「酒」は、ほんのりと酒粕のような風味が口の中に広がりますが、
言われなければ分からず食べてしまうこともあるのかな?というくらいの優しいお味です。
男前な黒いパッケージの「サトナカBS」のBSはBlack Sugerの略だそうで、
沖縄産の黒糖100%を使っています。
ピリッと生姜も利いているので和洋折衷感の強いクッキーです。
真っ赤なパッケージの「サトナカズ」には、
全フレーバー(塩、米、酒、昆布、黒糖)が集結。
サトナカの味を存分に楽しむことができます。
クッキー自体は、好き嫌いが出にくい馴染みやすいお味でとても美味しいです。
パッケージもお洒落なので、ちょっとしたお土産の候補にいかがでしょうか。
小さな箱の中にお伊勢さんがギュッと詰まっています。
久しぶりにサトナカの「サクサクほろっ」を味わいたい、
そんな小さな願いが生まれた、私のいつもの昼下がりです。
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