この日は、日付が変わったと同時に、いたずら好きな知人、友人からちょっとしたウソが届く。
私はというと、みんなマメだなぁと少し離れたところから、みんなのウソのセンスを楽しませてもらっている。
4月1日は言わずと知れた「害のないウソであればついてもよい日」エイプリルフールと呼ばれている。
この日は、日本だけではなく世界中の至る所で、様々な害のないウソがつかれているのだと思うと少々滑稽だ。
と同時に、このような事を世界中の人が純粋に楽しめるようになれば、それは本当に平和だということなのだろうな、とも思う。
このエイプリルフール、世界共通のイベントのように感じられるけれど諸説あり、意味や由来は様々。
16世紀の西欧では3月25日が新年だったのだそう。
今で言うお正月なので、年が明けて4月1日まで春のお祭りが開催されていたそうなのだけれど、ある時、国王がグレゴリオ歴を採用し、新年を現在と同じ1月1日からとしたという。
国民たちは、国王に反対の意を表すために4月1日をウソの新年とし、この日にばか騒ぎをするようになったそうだ。
もちろん、国王が黙っているはずはなく、このばか騒ぎをしていた人たちを捕まえて処刑してしまう。
そして、この出来事への抗議の意味もあって4月1日はばか騒ぎ(ウソ)を続けるようになった、という説がある。
他には、フランス語ではエイプリルフールのことを、ポワソン・ダブリル (四月の魚)と言う。
フランスで4月1日が「四月の魚」と言われている理由は、4月はたくさん魚が釣れるのに魚座ではないという説や、
4月にはものすごく魚が釣れるため「バカな魚」というというようになったという説などがある。
そして、この大漁のお祝いとしてウソをつくようになったのだとか。
この名残で、フランスの子供たちはエイプリルフールになると、紙で作った魚を友だちの背中に貼り付けるといういたずらをする。
そして、『4月の魚(ポアソン・ダブリル)』という名のフランスの伝統菓子を食べるのだ。
日本でもポアソン・ダブリルという名のパイがスイーツショップのショーケースに並んでいることがあるけれど、このような、可愛らしいパイだ。
エイプリルフールに関する話は、これだけではない。
所変わって、インドにはこのような話が残っている。
インドの修行僧たちは春分の日から一週間、過酷な修行を行い、この修行が4月1日終わるという。
せっかく辿り着いた悟りの境地から、迷いや誘惑の多い世界に戻ってくるため、辛い修行がムダになるではないかと笑いあったのだとか。
この様子から、4月1日は人に無駄なことをさせてからかう日とされ、エイプリルフールになったのだとか。
そして、日本。
日本でのエイプリルフールは、江戸時代に西洋から伝わった習慣のようだ。
今でこそ「エイプリルフール」は楽しむものとして広がっているけれど、当時は『不義理の日』と言われていたそうだ。
なんともまぁ、楽しさの欠片も感じられないネーミングセンスなのだけれど、独自路線はここだけではない。
当時は嘘はつかずに、普段、義理を欠いていたことを手紙で詫びる日だったというのだ。
国民性や当時の価値観などが反映されているようなエイプリルフールだけれど、今のように楽しむ日になったのは、大正時代に入ってからのことだという。
各国の過ごし方を見比べてみると、バラエティ豊かな背景だと感じられるけれど、古代ローマでは主人と使用人、道化師と聖職者が入れ替わる、『さかさま祭り』と言うものが行われており、
これがエイプリルフールの始まりでは?という説もある。
この『さかさ祭り』、実際に何をしていたのかと言うと、身分や立場に縛られることなく、皆で楽しく騒いでいたそうなのだけれども、
このお祭りから「ウソをついてもさかさまだ」と言われるようになり、エイプリルフールに変化したのではと。
更に、あの有名なノアの箱舟の話の中にもエイプリルフールの始まりだと言われているシーンが登場する。
洪水の危機から逃れたノア達は、洪水が治まったことを確認して陸地を探すことになるのだけれど、
このときノアは、箱舟からハトを飛ばして陸地をハトに探させたのだ。
しかし、ハト達は陸地を見つける事ができないまま船へと戻ってきたという。
この、ハトたちが戻ってきた日が4月1日と言われていることから4月1日は「意味のない、無駄な日」「無駄なことをさせられる日」とされ、ウソをついても良い日、となったという説も。
少々強引な説もあるけれど、世界中の様々な時代の4月1日に、人の記憶に残る何かが起きたのだと思うと不思議な気も致します。
可愛らしいいたずら(ウソ)を楽しむことができて笑うことができる、そのような余裕をもって、この日を過ごすことが出来たら幸せだと思う。
今日はどのような「いたずら」をするのだろうか、したのだろうか、されたのだろうか。
楽しいエイプリルフールでありますように。
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