幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

アホウドリに限らず、人だって完璧だったらツマラナイ。完璧ではないということは、とてもラッキーなこと。

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随分と温かくなった。

お腹の底に力を入れてグイグイ歩いていると

薄手のスプリングコートでも汗がじんわり滲みでてきそうだ。

もう少し、お気に入りのトレンチコートたちを楽しみたかったけれど

こちらは夕方以降のお出かけ専用になりつつある。

まだ少し発車までの時間がある電車にひょいっと乗り込んで空いている席を探した。

窓越しに差し込む日差しに照らされた席に静かに腰を下ろす。

少し前なら、この座席のほわーんとした温かさが心地良かったのだけれども、

その日はそれが少しばかり過ぎるように感じた。

ここでも季節の移り変わりを感じさせられた。

 

発車を知らせるメロディーと共に乗り込んできた人生の先輩方が

隣のボックスシートに腰かけた。

トレッキング帰りだろうか、そのような装いと

皆さんが首からぶら下げていたオペラグラスが印象的だった。

 電車が発車し、いくつか目の駅でお母さんに手を引かれながら男の子が乗ってきた。

そして再び走り出した静まり返った車内に男の子の元気な声が響いた。

 

「アホウドリってアホなの?」

 

慌てるお母さんを、可愛いななんて思いつつ声の方へ視線を向けると

男の子は、人生の先輩方が手にしている野鳥の本を覗き込んでいた。

だからオペラグラスだったのかと、そこで合点がいった。

そして、アホウドリのことについてだろうか、

野鳥の本を覗き込ませながら先輩方が男の子に何やら話をしていた。

私もその話に興味津々だったのだけれども、

話の内容までは聴こえない。

自宅へ戻るとすぐにPCを立ち上げて「アホウドリ」と呟いた。

皆さんは、PCやスマートフォンなどで音声検索を使われたこと、ありますか?

私は未だに少し恥ずかしい気が勝っている音声検索だけれども、

最近は一人でこっそり愛用中。

 

ずらりと並んだ検索結果をいくつか読んでみたのだけれど、

私、少しだけアホウドリを可愛らしい、と思ったのです。

「アホウドリ」はアホなのか?

結論から申し上げますと、そう言われても仕方のないエピソードの数々。

せっかくなのでご紹介させていただくと、

 アホウドリ、実は見た目がとても美しくてかわいい鳥。

両の翼を広げると2メートルを超え、鳥類の中でもずば抜けた飛翔能力を持つそう。

実物が空を舞う様子は目にしたことはないのだけれど、

画像から見るに、それはそれは気持ちよさそうに飛ぶのだろうな、

と見入ってしまいました。

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ただ、そのカッコいい大きな翼は、地上では扱いづらいようで、

彼らの歩行を難儀なものにかえてしまうようなのです。

お世辞にも上手とは言い難い歩きかたは、

つかまり立ちを始めた子どもと大差ないように見えました。

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そして、優しい鳥なのでしょう。

人間を警戒せず、アホウドリ自ら人間に近寄ってくるため、

アホウドリは簡単に人間に捕まってしまうのです。

 

このアホウドリ、別名「信天翁(しんてんおう)」と呼ばれているのだそう。

これは、昔の中国のエピソードに由来するものなのですが、

アホウドリはエサを捕まえるのが苦手で自分では魚を捕ることが出来ず

「天」らエサが降ってくるのを信じている鳥とされていたのだそう。

しかも、その見た目がおじいちゃん(翁)のようだということで

「信天翁(しんてんおう)」と呼ばれるようになったようです。

 

アホウドリとは、

歩くのもエサを捕るのも苦手。

エサは空から降ってくると思っていて

おじいちゃんのような鳥。

そんなアホウドリは絶滅危惧種。

こんなにも愛嬌のある鳥、絶えてほしくない。

かっこいいだけの存在よりもグッとくるものがあると思いませんか?

アホウドリに限らず、人だって完璧だったらツマラナイ。

完璧じゃなくてラッキーなのだと思うのです。

だって、それだけ可能性の種を持っているということなのだから。

そのような事を思いながら、

妙な名前を付けられてしまったら彼らを少々気の毒にも思いながら

新しい事を知ることは楽しい、と思ったある日の夕暮れ時。

 

画像出典:https://jp.pinterest.com/