先日、あるアーティストのライブへ足を運んだ。
お芝居や美術鑑賞などでは、ひとつのタイトルを初日と千秋楽へ行くといった具合に、
公演中や公開期間に2回足を運ぶことはあったけれど、ライブでそれをするのは初体験。
しかも日を開けずに2日連続という、少々、学生のようなノリで弾けた2日間だった。
ライブや観劇のようなナマモノへ足を運んだ時に感じることがある。
もちろん演者やスタッフは皆プロなので、お金を頂く代わりに、
その日の最高の物を届けようと全エネルギーを注いで舞台を作り上げている。
だけれども、やはりプロでもそれ以前に一人の人である。
初日は目に見えない不安を大なり小なり抱いているのだろうと感じる。
このライブツアーの初日も、会場全体にスタッフの、演者の、観客の、何か目に見えない緊張感のような物が感じられていた。
それが、幕が開き時間を経るにしたがって、演者と観客との呼吸が少しずつ少しずつ重なり合い、会場全体がひとつになっていく。
この感覚は、何度体験しても体と心がブルブルッと震える。
無事に終えた初日はとても満ち足りた気持ちにさせてもらった。
翌日もまた気持ち新たに2日めのライブへ足を運んだのだけれども、
目の前に現れた演者の表情は前日とは違い、靄が晴れたかのように清々しい表情に変わっていた。
演者自身もその場を思いっきり楽しんでいる事が感じられるような表情とパフォーマンスに
嬉しい気持ちと、どこかホッとしたような気持ちが入り乱れた。
そして、さすがはプロだなと感服した。
初日の経験を生かし反映した2日めのステージは、質がグンとあがり、
観客のボルテージも、それにつられるかのように更にグンと上がった。
昨日よりも今日、今日よりも明日、
そのような積み重ねの大切さと真摯さや力強さと、生きてきた道のりに触れさせてもらったような気がした。
数えきれない程、大きなステージに立ってきたベテランとも言えるような演者でも、
不安を抱くことがあるのだと勝手に頭の片隅でそのような事も想像しながらステージを楽しんだ。
コンディションが良くても悪くても、
不安があっても無くても、
その瞬間の自分に出来る最高のパフォーマンスを届けたい。
その為に全力を出し切る姿にステージとは別の感動を覚える。
開演前までバラバラだった観客の気持ちが
目の前のステージに焦点を合わせた時の一体感は、
世界さえも変えられる一歩を踏みだすチカラにも感じられた。
久しぶりに耳にした懐かしいメロディーと歌声の数々は、
自分自身も忘れていた私の琴線にいとも簡単に触れた。
懐かしくて、温かくて、忘れたいたけれど忘れられない、
ちょっぴり甘くて痺れるような記憶たちと共にある感情に。
返り道、まだ興奮冷めやらぬ少し火照った体を、
どこからともなく漂ってきた儚い沈丁花の香りが、ふわり優しく包んでくれた。
同じ1日など、どこにも無い。
人は何度でも、いつでも、毎瞬でも、自分の気持ちひとつで生まれ変わることが出来る、と改めて。
その後、身も心も解放して楽しんだ証として全身に現れた筋肉痛に
しばらく苦戦したことは、ここだけの話。
今日も新しい自分で口角をキュッと上げてまいりましょう☆彡
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