ひょんなことから知ることができたギャラリーがある。
京町屋風のしっとりたした雰囲気のそこでは、
個展やグループ個展が開かれている。
クラクラと眩暈がするような、
はたまたビビッと電流が体内を駆け巡るような、
そのような作品や作家との出会いを求めて月に数回足を運んでいる。
タイミングが良ければ作家と創作談義を交わすこともでき
ワクワクとドキドキが程よい塩梅で溶け合う場所だ。
通い慣れた、見慣れた空間だというのに、
そこに配置される作品によって全くの別世界がそこに広がる。
足を一歩踏み入れた瞬間に包まれる
作家が作り出した世界の空気感や匂いは非常に興味深く、心地よい刺激をも受ける。
その日は外国人作家の方の個展が開かれていました。
展示されていたのは個性的なダーラナホースたち。
ダーラナホースとは、北欧、スウェーデンの伝統工芸品です。
日本でも北欧インテリアのアイテムとして使われていますし、
北欧雑貨を扱うショップなどで目にしている方も多いのではないでしょうか。
日本ではインテリア雑貨として知られているのですが、
実はこれ、幸せを運んできてくれる縁起物の馬として世界中の人に愛されている馬なのです。
北欧では馬、それも赤い馬は縁起が良いという言い伝えがあります。
スウェーデンには白夜があるため、貴重な燦々と照り付ける太陽を大切に思っているからなのでしょうか。
太陽を連想させる赤が好まれるようです。
そして、このダーラナホースをお守りとして飾っているご家庭も多いのです。
日本にも「馬」の字を左右逆に書いた文字を「ひだりうま」と言い、
縁起の良い文字だとしているので馬は世界共通の縁起物、ラッキーモチーフなのでしょうね。
ダーラナホースが生まれたスウェーデンのダーラナ地方は、スウェーデン人の「心のふるさと」とも呼ばれています。
スウェーデンの伝統や昔ながらの文化が今も残るこの地で、
ひとつひとつが職人さんの手作りによってダーラナホースは生まれます。
手作り故、彫り方もデザインも全く同じものはありません。
このダーラナホースの始まりは、昔の木こりの人たちが仕事が終わると、
暖炉の前で遊び半分に木彫りの馬を作ったことが始まりだと言われています。
どうして馬だったのかと言いますと、他の動物たちと違って馬は、
寒い冬の間、重い材木を森から運び出してくれますし、
畑でも人間の代わりに多くの力仕事を担ってくれていました。
彼らと彼らの生活にとって大切な、かけがえのない愛すべき存在だったからのようです。
木こりたちが彫ったダーラナホースは売られたりもしていましたが、後に子どもたちのおもちゃになったのだそう。
今もダーラナ地方には工房があり、職人さん達が一つ一つ丁寧に愛情を込めて手作りされています。
人気なのはやはり真っ赤なダーラナホースのようですが、現在はインテリアに合わせやすいように、
カラフルなものだけでなく、木のぬくもりが感じられる着色なしのもの、シンプルなものも多く、人気なのだそう。
その日、私がギャラリーで見たダーラナホースは、それはそれは個性的な姿と色をしており、
今にも暴れだしそうなほど躍動的で息を呑む程に美しく逞しい馬たちで、
踏ん張る力を分けてもらったような気分になった。
今日のあなたに真っ赤なダーラナホースが小さなハッピーを運んできてくれますように☆彡
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