幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

「ルビを振る」のルビってなあに?

f:id:hiiragi1111:20160607161904j:plain

少し前に所用で役所へ行ったときのこと。

その日は随分と混雑していて、

予想していた時間以上に待合いソファーに座っていたように思う。

両隣の方々は次々と入れ替わるのだけれども、

私はじーっとカウンター内で働く皆さんを眺めていた。

このように不特定多数の人が出入りする場所での対応は

気苦労も多いのだろうなと勝手に思いを巡らせたりもしながら。

すると、隣に腰かけていた年配のご婦人が声をかけてきた。

私はどういう訳だか、子どもの頃からよく人に声をかけられる。

隙がありすぎるのだろうかと気にしたこともあったけれど、

いつの頃からか、袖振り合うも多生の縁なのだろうと思うようになった。

 

この時私は、声をかけてきたご婦人に

役所へ提出する書類の説明書きの文字が小さすぎて読めないから

ルビをふってくれないだろうか、というお願いをされた。

カウンターの中を眺めていることにも丁度飽きてきた頃だったので

「いいですよ」と返答した。

それにしても、久しぶりに聞いた「ルビをふる」という言葉。

世の中から薄れつつある言葉と何気ない日常のひとコマの中で出会うとき、

少しばかり心が躍るのは私の癖みたいなものだろう。

 

漢字に振り仮名をふることを「ルビをふる」と言う。

皆さんも、どこかで耳にしたことがあるかもしれませんね。

この言葉にある「ルビ」は「ルビー」のことだとご存知でしょうか?

そう、あの宝石のルビーです。 

 

イギリスは世界に先駆けて印刷技術が発展していた国なのですが、

イギリスでは、活字の大きさに「あだ名」のようなものを付けて呼んでいたそうなのです。

そして、その「あだ名」に選ばれたのが宝石の名前でした。

私は、初めてこの事を知ったとき、

数字の方が間違いが起きにくくて良いのでは?と思うのと同時に

当時の人たちは、なんて洒落たことを始めたのだろう、とも思いました。

 

イギリスで活字のサイズは「ポイント」という単位で呼ばれていたのですが、

3.5ポイントの活字はブリリアント(輝きという意味)、

4ポイントの活字はジェム(宝石という意味)、

4.5ポイントの活字はダイヤモンド、

5ポイントの活字はパール、

5.5ポイントの活字はルビー、

6.5ポイントの活字はエメラルドと呼ばれていました。

 

日本で使われていた振り仮名は7号活字と呼ばれていて、

イギリスのサイズに当てはめると5.5ポイントサイズの活字だったのだそうです。

そこから振り仮名をふることを「ルビーの活字を置く」、

「ルビをふる」と言うようになったそうなのです。

 

このような事も思い出しながら、

ご婦人の説明書きにルビーサイズよりも大きな大きなルビをふったのでした。

 

画像出典:https://jp.pinterest.com/