先日、今年もいつの間にか一年の半分近くまで来ていると、お話させていただいただきました。
夏越の大祓と称して茅の輪をくぐり、年が明けてからの半年間の穢れを祓い、気持ちも新たに2016年の後半の一歩を踏み出すというもの。
この、穢れを祓って無病息災を願う6月に食べる「水無月(みなづき)」という和菓子があるのをご存知でしょうか。
日本には、菱餅や桜餅、柏餅、おはぎなど、歳時と結びつきのある和菓子がありますが、この「水無月(みなづき)」も、そのひとつです。
どのようなお菓子なのかと言いますと、このようなものです。
「水無月(みなづき)」という名のこのお菓子は、優しい白色をした「葛」や「ういろう」の生地の上に、甘く炊いた小豆を乗せ、これを三角形に切ったものです。
「葛」や「ういろう」の生地も小豆も、ほんのりとした優しい甘さで、もちっとした生地とホクホクとした食感の小豆が、冷たいお茶とも温かいお茶とも合う優しいお味の和菓子です。
今よりもずっと昔、今とは違い氷がとても貴重だった頃に、氷のかけらを模った三角形の和菓子が作られるようになりました。
そして、厄除けの意味もある小豆を上に飾ったものが、「水無月(みなづき)」の始まりなのだそう。
京都では、6月最後の30日に水無月を食べる慣わしがあります。
今は6月になれば和菓子やさんやスーパーに「水無月(みなづき)」が並びますので
6月の風物詩でもあり、この時期になると召し上がる方も多いのではないでしょうか。
6月と言えば梅雨の真っただ中なのですが旧暦では真夏。
昔は冬に出来た氷や雪を氷室に保存していました。
そして、この6月に保存しておいた氷を宮中へ献上する行事があったのだそう。
この氷の欠片を模ったものが「水無月(みなづき)」ということのようです。
いつの時代から食べられるようになったのかは分かっていないようなのですが、体力も気力も失われる夏を前に、栄養がある「葛」や「ういろう」と、
一年の半分の間に溜まった、穢れや邪気を祓うことで知られる小豆を合わせた「水無月(みなづき)」を、この時期に食べて残りの半年を元気に過ごすための準備をしたようです。
私はこの時期、「ういろう」の頭を覆うかのように、びっしりと小豆が敷き詰められている「水無月(みなづき)」を温かいハト麦茶でいただくのが小さな楽しみのひとつです。
穢れ祓いや邪気祓い、無病息災祈願などの習わしも頭の中にはあるのですが、単純に、「あぁ、美味しい。あぁ、幸せ。」と優しい甘味を味わっております。
「楽しむだけで邪気祓い」このような先人たちの知恵と想いに感謝しつつ、
今年の後半を存分に楽しむための、頑張り抜くための鋭気を補充してみてはいかがでしょうか?
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