私はとにかく暑い夏が苦手です。
外の空気に夏の匂いが混じりはじめると、うきうき、わくわくはするものの、
同時に塩を振りかけられた青菜のごとく、しんなりとしてしまうのです。
日常生活に支障をきたすわけにはいかないので、
5月からエアコンがフル稼働します。
そのような私の行動に周りは「はやっ」というリアクションですが、
「背に腹は代えられぬ」と武士並みの潔さで
今日もピッと可愛らしいリモコンスイッチの音を部屋に響かせるのです。
その日もピッという音で始まったのですが、
うっかり部屋を冷やし過ぎてしまったようで体がブルブルッと冷えすぎサインを送ってきました。
温かい緑茶を淹れ、お湯のみの中を覗き込んだのですがアレがないのです。
アレとは、お湯のみの中で器用にぷかぷか浮く茶柱です。
日本には、茶柱が立つと吉兆のしるしだという言い伝えがありますが、
この茶柱、茶葉づくりの技術の進歩や急須や茶こしの性能の進化によって
昔以上に貴重な存在になりつつあるようです。
お茶を召し上がるご家庭が減りつつあることや、
飲み物の種類も豊富であること、
より手間暇をかけずに飲むことができるものを選ぶ方が増えていることも
理由なのかもしれません。
だけれども「茶柱が立つ」ことが吉兆のしるしであることは多くの方がご存じです。
だからなのでしょうか、
今は100%茶柱が立つお茶というものがあるのです。
カプセルに入った茶柱とお茶の粉末をカプセルを開けてお湯のみに入れ
お湯を注ぐだけなのだそう。
本来の茶柱は、茶の木(チャノキ)の茎が茶葉に混入し、
その茶葉を使うことによって生まれます。
乾燥した茶葉が茶こしの網の目を通過してお湯のみの中に入ることはありますが、
茶の木の茎がその網の目を通過し、
更にその茎がお茶の中で立つというのは稀な事。
滅多に見ることができない現象である上に、
柱が立つということは、大黒柱が立ち、
その家族が安心して過ごすことができるという連想もあり吉兆のしるしとなったようです。
この茶柱を吉兆に変えるには扱い方があるのですが、ご存知ですか?
お湯のみの中に茶柱が立つと、「見てー、茶柱が立ってる!」と言いたくなりますが、
茶柱が立ったことを自分以外の人に話してしまうと話した人に幸運が移るのだそうです。
これは、幸運や元気を分けてあげたい人がいる場合には、
譲ることもできる優しい仕掛けですね。
もし、幸運を自分の力に変えたい場合は、
茶柱が立っていることを人に知られないうちに、
茶柱をゴクリと飲み込むことがポイントです。
最近、茶柱に出会われましたでしょうか?
今日あたり、ゆっくりとお茶を楽しまれてみてはいかがでしょう。
今日のあなたに吉兆あれ。