キッチンに立ち収納してある調味料の賞味期限を確認していた。
数少ない厳選された調味料で様々な味を繰り出すことに魅力を感じる一方で、
様々な世界中の調味料を適材適所で使用して、
味のピントを合わせる事にも非常に魅力を感じている。
だから私は、調味料が所狭しと並べられているお店を覗くことがやめられない。
特に買いたいものがあるわけでもないのに、
足を踏み入れたら最後、何かしら手にしてお店を後にすることも多い。
先日もまた、近所にある国内外の珍しい調味料を取り揃えているお店へ
足を踏み入れてしまっていた。
ぷらぷらと店内を見て回っていると、
いくつかのスパイスが切れかけていたことを思い出した。
グッドタイミングだったと自分の気ままな行動を正当化する理由を見つけ、
いざスパイス棚の前へ。
これだけのスパイスが自宅キッチンにあれば……と夢は広がるけれど、
全てのスパイスが自宅にあったならと想像してみると
様々な現実問題が目の前に現れ、あっさりと、その夢は消え果るのだった。
いつもの如くくだらないことに思いを馳せつつ手に取ったのは「オールスパイス」。
よく耳にするスパイスなのだけれど、
私は未だ一度も自宅で使ったことがなかったのです。
ですから、オールスパイスというものは、
何種類かのスパイスが調合された便利なスパイス調味料だと思っていたのです。
よくご存じの方には笑われてしまいそうですが、
オールスパイスに私と同じイメージを抱いていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私だけではないという小さな期待を込めまして、
今回はオールスパイスって調合された便利スパイスじゃなかったの?
というお話を少し。
オールスパイスは、西インド諸島原産のフトモモ科の常緑樹で、
主な産地はジャマイカやメキシコなのだそう。
完熟する前の青い実を取って赤褐色になるまでしっかりと乾燥させたものがこれ。
単体なのに、どうしてオールスパイスという名前が付けられたのかといいますと、
シナモン、ナツメグ、クローブなどのスパイスが
混ざりあったような香りがすることが由来だそうです。
少し特徴のある香りが苦手だと感じられた場合は、
シナモン、ナツメグ、クローブを合わせて使うことで
特徴的な香りのクセが和らいで使いやすいようです。
我が家にはオールスパイスはないけれどシナモン、ナツメグ、クローブはあるので、
好みで調合すれば同じだと思った私は安直すぎますでしょうか。
その日、私はお店の方のご厚意で香りを試させていただいたのですが、
シナモンやナツメグ、クローブのような香りの奥に、
胡椒のようなピリッとした香りも感じることができました。
用途は幅広く、お肉料理や煮込み料理やソースに使えるだけでなく、
シナモンやナツメグに似た香りもすることから
お菓子作りにも使える万能さがあるのだとか。
もしかしたら、3本が1本で済むのかもしれないと感じた私は、
本当に1本で事足りるのか他の3本を封印し、
現在ひっそりと検証中でございます。
それにしても、「オールスパイスと言いつつ単体スパイスだったのか」
と勝手に残念な気持ちを抱いていたのですが、
様々なお料理に使うことができる万能スパイスで恐れ入りました。
本日のお話し、異なる意味でのオールスパイスという着地点でいかがでしょうか。
そして、いつも思うことなのですが
一番初めに、オールスパイスを口にした人の勇気たるや。
はじめの一歩は未来を切り開くようでございます。
今回は、この辺で……。