幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

大多数と同じであると安心感を得られることがあるけれど、モノゴトの多くは考え方次第、視点次第。

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げほげほげほっ。

またやってしまった。

何の前触れもなく咳き込む私に「何が起きたの!?」というような視線が集まった。

家族は慣れたもので「いつもの?」と声をかけてくる。

「げほげほ」が「けほけほ」に和らぎコクンコクンと頷く私に、

「おばあちゃんになった時にお餅を食べる時とか、ほんと、気を付けてね。お餅を喉に詰まらせて一大事とか嫌だ。」

と言って苦笑する。

咳を落ち着かせることに集中していると、

「で、今のは器官に何が入ったの?」と尋ねられ

「空気中の微細な何かかな」と答える。

これ、ふざけているわけではないのだけれど決まって呆れ顔を頂戴する。

私は、そんな私を自分でほんの少し、気の毒だと思っている。

 

食べたり飲んだりしているわけでもないのに、

突然咳き込むクセがあった私はある日、思い切って専門医の門を叩いた。

当然、様々な所にカメラを押し込まれ検査された訳だけれども大きな疾患はなし。

ホッと胸を撫で下ろすも私の疑問は解決していない。

そのような視線を向けたのだろう、専門医が口を開いた。

「ただね、声帯がオールウェイズオープンなんだよね」と。

 

ご存知の方もいらっしゃるとは思うのですが、

私たちの声帯は必要に応じて開いたり、閉じたりしながら声を発しています。

息を吸うときには開いて、声を発する時には閉じて、

声のトーンによっては声帯を半分だけ閉じてみたりといった具合に。

これが、私の場合は開きっぱなしだというのです。

老化に伴って声帯が緩むことはあるようなのですが、緩んでいる状態とも違うとのこと。

「えーーー、じゃぁ、どうすればいいですか?」

と素で詰め寄る私に、息が吸えない状態なら問題だけれども

オールウェイズ息が吸い放題だから窒息の心配がなくていいと思うと笑い飛ばす専門医。

モノゴトは考えようだと教えてもらったような気がした。

ただ、飲み物、食べ物、空気に至るまで

思わぬタイミングで気管へ吸い込んでしまうため、

大切な会食や打ち合わせなどの場で急に咳き込まないか心配だと言うと、

ひとこと、「ごめんなさい」で済むのだから気にしなくていいのでは?と返ってきた。

少しばかり上手く丸め込まれた感は否めないけれど、

腑に落ちて椅子から立ち上がった。

お礼を言って背を向けると、

「オールウェイズオープンを楽しんで」とあっけらかんとした声が降ってきた。

「(この人、人ごとだ……)」と心の中で呟き、

それからしばらくの間、私の頭の中で「オールウェイズオープン」という言葉が巡り巡っていた。

 

それからの私は、ここぞという場面ではゲホゲホが飛び出さぬよう

ほんの少し気をつけてはいるものの、やはり出る時はでてしまうのです。

私はそういうものなのだと程よく開き直って日々を過ごしております。

大多数と同じであると安心感を得られることがある。

それ故に、そこから外れてしまうと自分の本意ではない不安のようなものが

自分を浸食してくることがある。

だけれども、モノゴトの多くは考え方次第、視点次第なのだろうなと思うのですがいかがでしょうか?

 

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