「読書気分で要点だけをつまみ食い」のタイトルのもとでは、国内外の様々なエピソードを、その時々の視点でご紹介させていただいております。
先日は私たちが知っている「くわばら、くわばら」というおまじないの言葉が持っているエピソードをご紹介させていただきました。
特段変わったところのない地名でも、あのように様々なエピソードを隠れております。
今回は続きというわけではありませんが、夏のお話しによさそうな少し不思議なエピソードを持つ、京都の「通り」をご紹介させていただきたいと思います。
大人のちょっとしたブレイクタイムにでもお楽しみくださいませ。
さて、京都には新京極通り(しんきょうごくどおり)という通りがあります。
その新京極通りの隣には寺町通り(てらまちどおり)という通りがあるのですが、ここは平安時代の頃は京極通りと呼ばれていました。
京極の「京」は平安京が置かれていた場所のことで、「極」は、最も端を表す言葉でした。
つまり、平安時代の頃の京極通りは「京の都に在る一番東の端の通り」という意味を含んでおりました。
そして当時の人々は、京極通りより外側(東側)には、恐ろしい魑魅魍魎が住んでいる魔界だと考えていたため、「京極通り」は人間界と魔界の境目ということで人々に恐れられていたようです。
そのような時代を経て明治時代に入ると、京都の人々は町を活気づかせようと再開発に乗り出しました。
この時、人間界と魔界の境目だった京極通り(現在の寺町通り)の東側、言わば、魔界の地に新しく通りが作られたため、新しい京極通りだということで「新京極通り」と名付けられたようです。
京都の地名が持つエピソードを紐解いていくと、京都の人々は様々な出来事、歴史を受け入れて良くしていこうとする力に長けているように感じます。
人間界と魔界の境目だなんて不思議な気分になりますが、現在の新京極通りは約500メートルほどのアケード商店街で、観光客向けのお土産屋さんなどもたくさん並んでおり賑やかな通りです。
近くには寺院などもありますので歴史に触れながら、お買い物や京都の味を気軽に楽しむ事が出来る場所です。
ただ、少し脇道にそれますと商店街の賑やかさが消え異世界への入り口と隣り合わせのように感じられる……。
そのようなこともあるかもしれませんので、観光で行かれた際には迷子にならぬようお気を付け下さいませ。
京都には、こちら以外にも「京極」の名が付く地名が他にもあります。
それは西京極。
西側の最も端を表す地名として今もその名を残しています。
このようなことを知ったうえで地図を改めて見てみますと、平安京がどのくらいの規模で置かれていたのかなど、知ることもできます。
京都へ行かれる機会がありましたら、もしくは京都の地図を眺める機会がありましたら、今回のお話や「くわばら、くわばら」のお話などをちらり、思い出してみてくださいませ。
関連記事: