幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

ガジュマルからのありがとうのキス。

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朝起きてリビングに入ると、ここは熱帯雨林か!と思うような日がある。

各方角の窓を全て開け放って冷房のスイッチを入れるのだけれども、

一向に室内が冷える気配はない。

乾いた体にお白湯を流し込み、薄っすらと汗を滲ませながらリビングの観葉植物にお水を与える。

昨夜も暑かったんだよと言わんばかりの飲みっぷりで

じょうろの中の水があっという間に無くなっていく。

今日も元気そうで何より、そんなことを思いながら葉っぱに触れる。

5分もすれば、与えたお水が葉脈を巡るのか、

少しクッタリと項垂れて見えた葉っぱはシャンと背筋を伸ばす。

その様子を私は一人勝手に「ごちそうさま」のサインだと思っている。

 

言葉は通じなくてもコミュニケーションを取ることができることを私たちは知っている。

犬語も猫語も、生まれたての赤ちゃんの言葉になる前の声色語も分からないけれど、

彼らと私たちの間で気持ちのやり取りができるように。

もしかしたら、言葉が通じることが前提になってしまうと

分かりあえて当たり前、分かってもらえて当たり前、

それなのにどうして分かってくれないの?

そんな風に互いに甘え合ってしまうのかもしれない。

ゆえに、こじれてしまうこともあったりもして。

キッチンで朝食の支度をしながら、

テレビから流れる不可思議な事件のニュースを拾い聞きして、そんなことを思う。

 

妖精って見えないけれどいるのかもしれませんね、

なんて突然切り出したら皆さんに驚かれてしまうだろうか。

居ないと決めつけてしまうのは簡単だけれども、

見えるものだけが全てとも言い切れないこの世界ですもの。

居るかもしれない、そう考えてワクワクするくらいは許されるだろうか。

時々、私の家に遊びに来る小さなお客様たちは、そんなおとぎ話が大好きなご様子。

私の脳内劇場をおとぎ話仕立てに話すと目をキラキラ輝かせて聞いている。

私が小さなお客様に付き合ってあげているのか、

私が付き合ってもらっているのかと聞かれれば、

今のところ五分五分といったところだろう。

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ある日、私は小さなお客様にこんな話をしてみた。

「あのね、ガジュマルの妖精さんからキスのプレゼントもらったんだよ。」と。

「えーーーーー!!!!!」

もう、一瞬にして私は羨望の眼差しを浴びることになる。

どうやって?いつ?女の子だった?男の子だった?お洋服はドレスだった?

次から次に湧き出てくる質問に若干タジタジになりつつ、

ちょっとこっちに来て、とガジュマルの前へと誘導した。

小さな踏み台を用意し上ってもらい、

「ここを見て」と一枚の葉っぱを指さした。

「わー、お口の形してるね、チューしてるね」と。

 

その葉っぱの主脈を横にしてみた時に、

上半分だけ真ん中に割れたような溝ができ上唇のような形をしているのだ。

下半分は下唇の様に上半分よりもふっくらとしたアウトラインで幅もあり、

葉っぱの端はまるで口角をキュッと上げて笑っているかのよう。

唇を模ったとしか思えないような一枚だ。

 

「触ってもいい?」というお客様に「どうぞ。」と答えると、

小さな指先で一枚の葉っぱをスルリと撫でて私の方を振り返った。

「いるんだね、ガシューの妖精さん。いつもお水あげてるから、ありがとうのチューなんじゃないかな。」※ガジュマルと言えなかった頃の癖で今もガシューと呼んでいる。

そう言って再び、その葉っぱを眺めている。

 

小さなお客様の言うように、

お水をあげていることに対するお礼のキスなのだとしたら

なんて素敵な演出なのだろう。

過度な先入観を持たずに接すれば、素敵なサプライズに出会えるのかもしれない。

言葉はとても便利なツールだけれども、言葉とて完璧ではない。

最後は心と心でのやり取りなのだろう。

そんなことを思いながら作った朝食を今日も美味しくペロリと完食。

今日もあなたに吹く風が優しい風でありますように☆彡

 

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