「私は辞典でも図鑑でも、インターネットでもないのだけれど。」
私はスマートフォンに向かってボソリ、呟いた。
私の周りには好奇心旺盛な友人、知人が多く、
それぞれが持つ個性的な視点による言動には、
驚かされたり、楽しませてもらったり、
様々なことに気づかされたりもしている。
しかし、彼らにはちょっぴり問題がある。
その好奇心というものを度々私に丸投げするのだ。
例えば、こんな商品が出たみたいなのだけれどアレっていいのかしら?
歴史上の人物の名をあげて、彼のあの発言の真意は何だったんだろう?
この言葉の由来って何だろうね?
この食べ物って世界で見かけるけれど、発祥はどこの国なんだろう?
私も好奇心旺盛なタイプ。
しかも、自分の五感で試してみてみないと気が済まない性分ゆえに、
冒頭のような声を漏らしつつ、つい、調べてしまうのです。
そして今回友人が私に向けて解き放った好奇心とは。
電車の中で「けちょんけちょん」という言葉を連呼していたサラリーマンがいたのだとか。
仕事絡みの話を真顔でしていたそうなのだけれども、
私の友人は、その言葉の響きに吹き出しそうになって大変だったと言うのです。
もちろん、言葉の意味は知っているけれど、
言葉の響きと意味とのギャップがあるように感じられる、とも。
「それで?」
何となく友人が言わんとしていることは察したのだけれども私は敢えてそう返した。
「知ってたら教えてもらおうと思って。あ、今日じゃなくてもいいよ。」と。
その更なる返し……何か、おかしくありませんか?
そう思いつつ、様々な角度から調べてしまいましたので、
皆さんともシェアしたくなりまして、ここでお話しさせていただいております。
「けちょんけちょん」という言葉の語源を皆さんはご存知でしょうか。
確かにコミカルな匂い漂う言葉ではありますよね。
小さなお子さんが耳にしたら、
つい口にして遊んでしまうような雰囲気さえまとっているような気がいたします。
しかし、人と同じで見た目だけでは判断しきれない何かを持っているのも言葉でございます。
この「けちょんけちょん」の語源はいくつかの説があるようです。
その中のひとつに和歌山県日高郡の「けちょに」という方言が元になっている、
というものがあります。
「非常に」という意味で使われていた、この「けちょに」という言葉は、
多くの人に使われるようになり関西地域で広がっていく過程で
「けちょんけちょん」と言う言葉に変化し、
意味も「徹底的にやりこめる様子」などを指すようになったという説が有力のようです。
言葉の語源に触れる際にいつも感じることなのですが、
言葉は時代の波に乗り変化し時を越えていきます。
私たちが当たり前のように使っている言葉たちも、
遠い未来では別の意味を成す言葉として使われるのかもしれません。
目に見える形があるわけではないけれど、
確かにここに在るもののひとつ、言葉。
とても興味深いものだと思うのです。
それにしても、またもや友人に乗せられて、
いや、友人のおかげで私の知識ボックスはほんの少し豊かになったわけです。
そして、「私は辞典でも図鑑でも、インターネットでもないのだけれど。」
そのような台詞を添えつつ、友人に調査報告をするのでございます。
今日のあなたが素敵な言の葉に触れられますよに☆彡