楓の葉を模ったメープルクリームクッキーと氷をゴロゴロ入れたマスカットティーを手に
ベランダのガーデンテーブルへ移動した。
外の風が気持ちいい季節はカフェテラス気分でお手軽ティータイム。
飲み物に氷が入っているのは、まだ辺りに夏の残り香が感じられるからだろう。
厚みのあるクッキーをひと口味わえば、
どっしりとしたメープルの香りが脳へじわり広がっていく。
そう言えば、学生の頃にカナダへ留学していた友人が
メープルシロップのことを詳しく教えてくれたことがあった。
カナダにはカナダ原産種の楓が10種類ほどあるらしいのだけれども、
その中で糖度が高い種の樹液100%を煮詰めて濃縮させたものがメープルシロップなのだそう。
そのメープルシロップを1リットルを作るためには、
厳選された木の樹液が40リットルも必要になるため、
メープルシロップはとても貴重な甘味料なのだと、
帰国後に見聞きしてきたことをイキイキと語る当時の友人の姿をふと思い出した。
お土産にいただいたメープルシロップは、
可愛らしい楓の形をしたボトルに入れられていたことは今でも私の記憶に残っている。
それからメープルシロップは私にとって身近な甘味料のひとつになり、
気付けば常にキッチンに。
メープルシロップにはグレードがあり、
透明度が高いもの(色の薄いもの)が高級品とされています。
採取時期によってグレードが変わるのですが、
グレードが下がるほど色が濃く茶褐色になり、
味に香ばしさのような、ほのかな苦みのような特徴が出てきます。
だけれども、必ずしも高級なものが一番美味しいという訳ではなく、
それぞれの味に合った使い方がありますし、
グレードの高いものが栄養価も高いというわけでもありません。
人それぞれの好みもありますので、
メープルシロップは自分好みのものを探すことも楽しみのひとつのように感じます。
メープルシロップは、
皆さんもご存知の通りパンケーキやスイーツに使われることが多く、
しっかりとした甘さがあるため、カロリーが高い、太ってしまう、体に良くない、
といった印象を持っている方が多いようなのです。
しかし、そのような印象をよそに、
大地の恵みをたっぷりと吸い上げた樹液の中には
日本人に不足しがちなミネラルなどの栄養が豊富に含まれており、
美容にも健康にも良い甘味料なのです。
例えば、骨粗しょう症予防や
知らない間に起こる骨折予防にも役立つカルシウムやマグネシウム、
浮腫みや塩分による高血圧を緩和させるカリウム、
エネルギーを作り出して新陳代謝を上げたり、美肌にも欠かせないビタミンB群、
アンチエイジングや生活習慣病などの健康に密接する抗酸化作用などの効果を上げる60種類以上のポリフェノール、
たんぱく質や糖質の代謝に必要な亜鉛などのミネラルがバランスよく含まれています。
よく「ミネラル」と耳にするかと思うのですが、
ミネラルは私たちの体内では作ることができないので
食事から摂らなくてはいけない栄養素です。
ですから、メープルシロップのようにコーヒーや紅茶に少し加えたり、
ホットケーキなどに垂らしたりと、いつもの一品に少し加えたり、
お砂糖代わりにお料理に使うだけで全てをバランスよく摂れるのは魅力です。
そうは言っても、しっかりとした甘さが感じられるのでカロリーを心配してしまいますが、
メープルシロップ100gあたりのエネルギーは約270Kcalほど。
これは上白糖ですと約380Kcal、ハチミツですと約290Kcalですので、
同じ甘味料と比べても低カロリーです。
そして、カロリーに大差のないメープルシロップとハチミツは似たような扱いをされがちですが、
ハチミツはお花の蜜の水分を蒸発させて濃縮したもので、ブドウ糖、
メープルシロップは楓の樹液を煮詰めて濃縮したもので、ショ糖で、
体内への吸収のスピードも異なります。
※ブドウ糖とショ糖の違いは下記リンクの過去記事をどうぞ。
保存方法には注意が必要です。
純粋な100%のハチミツには殺菌力がありますので
常温保存が可能で賞味期限もありません。
一方、メープルシロップは開封直後から劣化が始まり、
保存状況によってはカビが生えることもありますので、
開封後は冷蔵庫保存し、早めに使い切るようにしてください。
そして、メープルシロップに含まれる大地の恵みを余すことなくいただきたい場合は、
純粋な100%メープルシロップを選んでくださいませ。
購入する際のチェックポイントは、
メープルシロップ、原産国・カナダ、原材料名・カエデ樹液などと記載されているものです。
メープルシロップは収穫時期、グレードで味が大きく変わります。
これまで味が合わなかった方は、
これからお口に合うメープルシロップとの出会いがあるかもしれませんので、
召し上がる機会がありましたら毛嫌いせずにお味見してみてくださいませ。
楓の木が吸い上げた大地の恵みで甘いティータイムをいかがですか?
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