食事の後片付けをしながら思ったのです。
私は一生のうちに何枚のお皿を洗うのだろうか、と。
食洗機を使ったとしたら?全てを手洗いするとしたら?と思考が巡ったけれど
このような事を考えることに大した意味はなく、
最後は、まぁまぁの枚数を洗うのだろうなというところに思考が着地した。
器は毎日使うものだからこそ、ほんの少し新しい視点を加えるだけで
調理や盛り付けを楽しむことができたり、
普段の食事も目でも楽しむことができたりと、
日々の食卓がちょっぴり豊かになるように思うのです。
洋食器は揃えて使うこと、置いたまま使うことを前提とされている場合が多いですが、
和食器は敢えて不揃いを自由に組み合わせて楽しんだり、
器を手に取って肌触りや形、柄を楽しむこともできます。
日本人の感性が繊細で豊かだと言われているのは、
このような文化が元になっているからなのかもしれませんね。
今回は、今ご自宅にある器を
今よりもちょっぴり素敵に見せる使い方のコツを覗いてみませんか?
ちょっとした和食ルール目線を取り入れて盛り付けるだけで、
いつもの器やお料理が華やいだり、引き締まったり、より表情豊かに変化します。
和食は中国から伝わったものが独自の発展を遂げたお料理なので、
和食ルールの中にも古代中国の陰陽五行説が使われています。
陰陽説と言えば自然界のあらゆるものを陰と陽の2つに分けていますが、
器の形にも陰と陽があります。
陰の食器:四角い器や角のある形をした器。色は、黒や藍色、深緑色といった暗いもの。
陽の食器:丸や楕円形の器。丸みのある形をした器。色は白、生成りなどの明るいもの。
食卓に並べるお皿を全て陰の器にしてしまうと、
形も色合いも単調になりすぎて堅苦しい雰囲気になってしまいます。
食卓の上で陰と陽の分量のバランスを取るようにすると単調になりすぎず、
程よいまとまり感を作ることができます。
そして、盛り付けるときには陰の器には陽の色合いのお料理を。
陽の器には陰の色合いのお料理を盛り付けると、
お皿の中の陰陽のバランスがとれて華やいだり引き締まったり、
一品がぐっとセンスアップします。
ポイントは陰と陽が重ならないように、偏らないように、です。
陰陽の色合いはフラワーセラピーのお話の中でも度々登場しますので、
そちらをご覧くださっている方は、是非、
器と食材の色の組み合わせで陰陽を取り入れてみてくださいませ。
絶対にこのルールにしなくてはいけないというものではありませんので、
陰陽目線を取り入れて新しい視点を増やしつつ、
自分の好きな色合いの組み合わせや盛り付けを楽しんでみてはいかがでしょう。
実は包丁にも表と裏があり、表は陽、裏は陰とされています。
食材を切ったときに表側が食材に当たっている場合は、
盛り付ける器は陰の器を使うというルールがあるのだそう。
お刺身の盛り付けを観察してみると、
四角い器に盛られることが多いお魚、丸い器に盛られることが多いお魚などがあり、
和食ルールが使われていることに気付くことができるのではないでしょうか。
そのような視点でお料理を覗いてみると
普段は見えていないかった職人さんのこだわりを垣間見ることもできます。
ただ、観察しすぎてお料理の美味しいタイミングを逃さないようにしてくださいませ。
ものの見方がひとつ増えると、
日常に、ほんの少し奥行きが出てきます。
自分自身や自分の世界は、こうして少しずつ創られていくものなのかもしれませんね。