10月に入ってすぐ、あるイベントに参加したのだけれど、1時間ほどぽっかりと時間ができた。
お茶をして過ごしても良かったのだけれども、近くにお散歩を楽しむことができる竹林があると分かった。
いつだったか忘れてしまったけれど、竹林浴は滝のそばと同じくらいのマイナスイオンを浴びることができる、と聞いたことを思い出した私は、竹林浴としゃれ込むことにした。
竹林ゾーンに足を一歩踏み入れた瞬間、ぱーっと視界が開いていくような、開放的な気分になるのと同時に、ほのかに香る竹の青い香りがなんとも心地よく、目には見えないけれど、確かに在るマイナスイオンを全身で感じることができた。
そう言えば、竹は一般的な植物たちとは真逆のリズムで成長するのをご存知ですか?
秋に芽が出て春には枯れてしまうのです。
これは、春になると筍が土から出るために栄養を使うため、竹そのものの葉っぱは黄色くなり、落ちてしまうという仕組み。
この様子から、春の竹のことを「竹の秋」と少々紛らわしい呼び方をし、「竹の秋、竹秋(ちくしゅう)」は晩春の季語にもなっているのです。
ただ、竹に葉っぱが無い状態を目にする機会は、そう多くはありません。
これは、葉っぱが黄色くなっている時には、次の新しい葉っぱがスタンバイしており、
葉っぱが落ちるとすぐに葉を広げるので私たちの記憶には残りにくいからのだとか。
そして、周りの木々が赤や黄色に色付いて落ち葉となる秋。
春に芽を出した筍も驚異的な成長力で立派な竹に育ち、青々とした瑞々しい葉っぱを広げます。
この様子から秋の竹のことを、これまた紛らわしいのですが「竹の春」と呼びます。
もちろん春というのは竹に限ったことで実際に世の季節は秋なので、「竹の春、竹春(ちくしゅん)」は秋の季語です。
子どもの頃、この話を聞いても紛らわしい以外の何物でもなく、いまひとつピンッと来ない顔をしていた私。
それならば実際に見てみよう!と両親に連れていかれた竹林で百聞は一見に如かずだったのだろう。
妙なスッキリ感と共に、その紛らわしさ、ちぐはぐさを全身で感じ、こうして私の記憶にしっかりと刻み込まれている。
その日、私が訪れていた場所は、山の木々が赤や黄色に色付き始め、葉を落とし始めた木々もちらりほらりと目にすることができた。
しかし、竹林の中だけは爽やかな新緑の春のイメージが広がっており、秋なのに秋ではない、幻想的な別世界。
今の季節は竹にとっては春。
皆様のお近くに竹林や竹などがありましたら、ほんの少し足を止めて竹の春を感じてみてはいかがでしょう。
その時はマイナスイオンもすーっと胸いっぱい吸い込むことも忘れずに。
今日も皆さんが笑顔で過ごされていますように☆彡
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