私たちが当たり前のように使っている
日本の硬貨や紙幣はとてもクオリティーの高いもののようなのです。
以前、日本の桜の花に魅せられた方に、
桜が刻まれている日本の百円硬貨を売ってくれないかと言われたことがあったのですけれども、
数日前は、「日本の紙幣はとても美しい」という話を耳にしたのです。
日本に観光でいらして紙幣を手にした時に紙質や渋いインクの色合いに感動したのだとか。
そして全てを記念に持ち帰りたかったけれど、
日本の紙幣は金額が大きいのでコインしか持ち帰ることができなかったと
非常に残念がられておりました。
私が海外へ行った時に感じる海外のお金は「おもちゃのお金」みたい。
という感覚は間違っていなかったのだな、と思いながらお話を聞いておりました。
紙幣には肖像画が描かれていることが多いですが、
私たちは人間の顔を認識することが得意なのだそう。
人の顔つきの些細な違いや表情の違いを認識することができるので、
この能力を紙幣の偽造防止対策として使うため、紙幣には肖像画が描かれています。
他にも人の顔には親近感を覚えやすいため、お札の識別がしやすいという理由なども。
実際に会ったことがない方であっても紙幣で繰り返し目にしていると
知らぬ間に私たちの記憶に深く印象付けられているようです。
どれほど深く印象付けられているのかを表しているエピソードがフランスにあります。
フランス革命で、当時の国王だったルイ16世は国外逃亡をはかったのですが、
あっけなく発見されてパリへ連れ戻され、処刑されてしまうという事件が起きました。
インターネットもテレビも新聞もない時代だったにも関わらず、
あっけなく見つかってしまったのは、
当時のフランスのお金にはルイ16世の肖像画が使われていたからだと言われております。
何気なく目にしていた紙幣に描かれていたルイ16世の顔は
人々は記憶に刻み込まれていたのです。
日本に限らず紙幣に肖像画を使用している国では
偉大な人物の肖像画を使用していますが、
誰をどの紙幣に印刷するかという点での考え方は、国によって様々なのです。
例えば、日本はより偉大な人物の肖像画を高額紙幣に印刷する傾向がありますが、
アメリカでは国民に敬愛の念を抱かせることも目的のひとつとしており、
建国の父と呼ばれているワシントンを、
人の目に触れる機会の多い1ドル札に印刷しています。
海外の紙幣を目にする機会がありましたら、
その国のお札をよく観察してみると、
お国柄のようなものが見えてくるのかもしれません。
私たちの身の回りにある何気ないものにも
国民性やお国柄が表れているものなのだなと気づかされた日となりました。
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