体はとても正直者だと思うのです。
頭の回転が鈍くなってくると、「手っ取り早くエネルギーを補給してしまおう」と思うのかもしれませんね。
私の脳内には「甘いものが食べたい」という指令が解き放たれます。
甘いものを控えている私を横目に放たれた指令は、
時に不思議なもので甘いものを引き寄せることもあるのです。
その日は、差し入れにフルーツがたっぷり乗ったタルトケーキをいただきました。
優しい香りのするハーブティーを淹れてティータイムです。
久しぶりに口にしたタルトケーキの甘さが体中に溶けだして、何とも幸せな気分。
適度にいただく甘いものは、気持ちまでもまあるくしてくれますね。
一切れのケーキを見ると時々思い出すフレーズがあります。
「it’s a piece of cake」
直訳すると「一切れのケーキ」です。
正に私の目の前のそれ。
もちろん、一切れのケーキという意味も持っているのですが、
「簡単なことさ」、「朝飯前だよ」、「楽勝!」、「お安い御用だ」、「どうってことないよ」
といった意味でも使われる言葉なのです。
海外で実際に耳にした時には頭のなかに「一切れのケーキ、ん?ケーキ?」と、
一瞬、会話の内容が飛んでしまったものです。
その時のシチュエーションは、
確か私が少々面倒をかけてしまうような内容の頼み事をしたのです。
いい返事をもらうことが出来ない状況も想定していたところに、
柔らかな笑顔で「(it’s※) a piece of cake.(一切れのケーキ)」と返ってくるんですもの。
会話も飛んでしまいます。
※it’sは、省略されることもあります。
実際の会話で私が耳にしたのは今のところ、
それが最初で最後なのですが、映画や漫画などでは時々目に、耳にするフレーズです。
その度に、そして、一切れのケーキを口にするときに、
あの時の「楽勝だよ!」と返してくれた笑顔を思い出すのです。
少し切羽詰まっていた私の気持ちを軽くしてくれた「it’s a piece of cake」という言葉。
あの時の私のように切羽詰まっている人の気持ちを、
私も笑顔で「楽勝だよ」と軽くすることが出来たなら、
あの時の感謝の気持ちを形を変えて次へ繋ぐことができるのでは、と思うのです。
まだまだ私自身、常に余裕があるわけでもないので
「目の前のことから一つずつ」の域ですけれど、いつの日か、と。
ちなみに、どうして「一切れのケーキ」という言葉に、
「楽勝だよ」とか「簡単だよ」といった意味が含まれているのかといいますと、
一切れのケーキをペロリと平らげることは簡単だから、という理由なのだとか。
一切れのケーキを目にされた際には、
このような意味も含んでいるのだということをチラリと思い出していただけましたら幸いです。