小さな子どもたちにロックオンされてしまった。
こうなると、なかなか抜け出すことができない。
体は一つしかないというのに、右へ左へと腕を引っ張られる。
これは、ちょっとしたモテ期か!?と自分を盛り上げてみるもテンションが上がらない。
お子さま諸君、大人にだって、こういう日があるのだよ。
いつものように私の心の声は自由である。
このような時に私が使う手のひとつに「乾杯」がある。
この手が使えるのも限られた期間だけなのだけれども、
「乾杯して遊ぼうよ」と大人の話術で友人の子どもたちを自分のテリトリーに納め、
お酒を飲みながら大人のお喋りを楽しみ、
その合間に「カンパーイ」とやり過ごす省エネ作戦を決行した。
いつも大人が合わせてくれると思うなかれ、だ。
しかし、子どもの本能なのか人の本能なのか、
何とかして攻略してやるぞとあの手この手を繰り出す子もいたりして、
子どもの発想力や想像力、切り替える力は、
小さい頃から備わっているものなのだと気づかされる。
そうそう、この「乾杯」。
英語では、toast(トースト)と言い、朝食によく出てくるパンのトーストと同じです。
特にフォーマルなシーンではDrink a toast!(乾杯しましょう)といったかけ声の後に
その場の皆がCheers(チアーズ)と続けます。
洋画を観られる機会がある方は注意して台詞を聞いてみると、
このような台詞を確認できることもあるかもしれません。
だけれどもワタクシには、
乾杯と言えばCheers(チアーズ)のみだと思っていた頃がありまして、
ある時、Drink a toast!(乾杯しましょう)と言いう発言のあと、
トーストを飲むってどういう事?無理でしょ?というリアクションをしてしまったことがあるのです。
こういうことは、事前に教えておいて欲しいものでございます。
私の失敗談はこの辺にしておきまして、
どうしてtoastが乾杯という意味になるのか不思議ではありませんか?
元を辿ると古代ローマの時代にまで遡るようなのですが、
この辺りの出来事は私自身がまだお話できるほど理解を深めていないため、
古代ローマからイギリスへ伝わった後のことをお話させていただきたいと思います。
パンのtoastが乾杯という意味を持ったことには理由があります。
古のイギリスにはワインの味が安定せずに酸味が強い時代がありました。
この酸味をどうにかして飲みやすくアレンジできないかと考えた結果、
トーストの欠片をワインに入れて飲んでいたのだそう。
そして、お祝いごとなどの時には大きなグラスに注いだワインを、
その場にいる人たち皆で回し飲みをし、
祝福を受ける人が最後のひと口のワインとグラスの中のトーストを食べる
という流れが乾杯だったようです。
私の個人的な感想としましては、え?最後?と思ったりもするのですが、
日本で言う「残り物には福がある」といったことに似ているのかもしれませんね。
このお祝いのスタイルが時代を経て受け継がれていく中で簡素化され、
toast=乾杯という言葉として残っているようです。
このようなストーリーを頭の隅で思い出しつつ、
お子さまたち相手に使っていた「乾杯作戦」もそろそろ使えなくなりそうだ、
と少々焦るのでありました。