日本の風習なのだけれども簡素化が当たり前になり、
本来の形を知る機会が失われがちの世の中です。
例えば、今回のお話コードの「お屠蘇」ですが、
皆さんお屠蘇はどのようなお酒だと思いますか?
ひょっとして、清酒を飲むものだと思っていませんか?
え?違うの!?と思った方、
知らないわけではないけれどちょっと曖昧かも、と思った方、
この機会に、簡単にサクッと本来の「お屠蘇」をおさらいしておきませんか?
|お屠蘇ってどんなお酒なの?
お屠蘇は皆さんもご存知の通り、
元日から三日までの間の朝に家族で新年の挨拶を交わした後に、
家族皆が新しい年も健康で過ごせるように願いを込めて飲む祝い酒です。
このお屠蘇という名の祝い酒を清酒だと思っている方も多いのですが
正式には「屠蘇散(とそさん)」と言いまして、
10種類程の生薬を日本酒に浸けた薬草酒を飲むものなのです。
和風ハーブ種といったところでしょうか。
お屠蘇は生薬を混ぜ合わせた「屠蘇散(とそさん)」を、
大晦日に清酒に浸しておけば出来上がりです。
屠蘇散も、薬局やスーパーで手軽に購入することができ、
ティーパックのような形状になっていますので、
正式なお屠蘇を飲むことも、それほど手間暇かかるものではないのです。
市販されているものは生薬の種類が少ないのですが、
山椒や防風、桂皮や肉桂、桔梗といった
漢方薬や調味料として耳にする機会や口にする機会の多いものが中心のようです。
私は自宅に常備しているクコの実もプラスして、
ほんの少しだけ甘酸っぱい香りも楽しんでおります。
|どうしてお屠蘇を飲むようになったの?
「屠蘇」という言葉には「邪気を屠(ほふ)り、魂を蘇らせる」という意味があり、
元旦にお屠蘇を飲むと、家族全員のその年の邪気を除き、健康で過ごすことができる。
という言い伝えが、平安時代に中国から日本に伝わったそうです。
始めは、宮中の正月行事としてはじまったものですが、
江戸時代には多くの人たちに広まったようです。
お屠蘇は清酒を飲むものだと思っていた方は、
来年の元旦は正式なお屠蘇をご家族で体験してみてはいかがでしょうか?
|お屠蘇のお作法は?
【1】お屠蘇を飲むタイミングは、ご挨拶の後、おせち料理やお雑煮を食べる前に三つ組の杯を使って飲むのですが、まずは東の方を向きます。
【2】最年少者から上から順番に杯を取り、それぞれを1回ずつの合計3回飲むのですが、最年長者が、最年少者に注ぎ、その最年少者が2番目に若い人に注ぐというように、飲み終えた人が次の人に注いでいきます。厄年の人の順番は年齢に限らず最後に飲みます。
【略式】1回ずつ合計3回を家族全員で行うのは少々時間もかかります。そのような場合には、1つの盃に3回に分けてお屠蘇を注ぎ、3口に分けてお屠蘇を飲み干す略式を使います。
【注意】お酒が苦手な人や未成年の場合は盃に口をつける真似、飲む真似をします。
一度体験しておくと記憶にも体にも体験は残るものですので、
正式なお屠蘇は未経験だわ、という方は、
楽しいイベントとしてご家族皆さんで経験してみてはいかがでしょうか。