またですか?と言われてしまいそうなのだけれど、また、用事もないのにふらりと大型書店へ足を踏み入れた。
このような日常をお話すると、物書き業の人はやはり本が好きなのですね、と返されることが多い。
もちろん、そのような方も多々いらっしゃるけれど私はその逆。
読書家ではないし、子どもの頃から本が大好きというタイプでもない。
ただ、好きなことや興味を持ったことに関しては、自分の興味が尽きるまでといえば聞こえがいいけれど、簡単に言えば飽きるまでは夢中になることができる性質、というだけだ。
自分が興味を持っているコーナーや全く興味がないコーナーなどがあるけれど、
ひと通り店内を一周してみると、思いもしなかったワードに足を止める自分がいたりもして、なかなか興味深い。
今の自分が何に興味を持っているのか、何にワクワクするのか、トライしてみたいことがあるのか、
はたまた、今は新しいことには触れたい気持ちがない時期なのか、それらを手っ取り早く知るには大型書店はもってこいの場所だと密かに思っている。
この日はクリスマスシーズンということもあって、お子さんへのプレゼントとしておすすめの本や絵本をまとめた新設コーナーが出来ていた。
このような期間限定コーナーには書店員の趣味嗜好がよく表れるため、どのような方が作ったのだろうかと、
確かめる術はないのだけれど勝手気ままに人物像を想像してみたりもしつつ、いくつかの本を手に取っていた。
その時、私の目が視界の端にアリエルの姿を捉えた。
アリエルとはディズニーシリーズの人魚姫だ。
とてもキュートな人魚姫なので子どもだけではなく大人のファンも多いキャラクターの一人。
人魚姫というと、このディズニーシリーズに登場するような姫をイメージしてしまいがちだけれど、人魚姫の起源を覗いてみると、
絵本の奥には大人の世界が広がっていることを知ることができる。
久しぶりに人魚姫というワードと出会ったような気がいたしましたので、
今回のお話コードは「人魚姫」でまいりたいと思います。
お時間ありましたら、温かいお飲み物片手にお付き合いくださいませ。
私たちが良く知る英語のマーメイドは、もともとはラテン語からきており、
ラテン語に戻すと海の乙女という意味があります。
そして、更に時間を遡っていきますとギリシャ語では人魚のことをセイレーンと呼んでいたことが分かります。
呼び方は違っても指しているものは人魚のことでしょ?と流してしまいがちですが、
人魚は人魚でもギリシャ神話で言うセイレーンは海の怪物で、
その姿は上半身は女性の姿、下半身は鳥だったのです。
どうして、怪物と言われていたのかと言いますと、
航海中の人々を美しい鳴き声、歌声で誘惑し、惑わせては遭難や難破に導いていたことが理由のようです。
人魚のもとは鳥女だったわけですが、どうして鳥から人魚になって伝えられているのか?
この辺りは、私の知識不足もあってよく分からないのですが、
人々を惑わせるほどの魅力をもった存在ですから、
人々の願望も取り込んで美化されていったのかもしれませんね。
どういうわけか、画家たちが描き残した作品の中に登場するセイレーンは、鳥ではなく人魚の姿をした美女が多いのです。
そう言えば、有名コーヒーチェーン店のスターバックスコーヒーのロゴデザインに使われている女性もセイレーンですね。
あのロゴデザインのセイレーンを見ていると、
海の上で彼女の誘惑に負けての遭難や難破はご遠慮させていただきたいけれど、
美味しい誘惑には負けてもいいわ、という気分にさせられます。
人魚を目にした際には、チラリ思い出していただきましたら幸いです。