こちらでは時々、国内外の神話の世界を柊希目線でご紹介させていただいております。
神話の世界を覗くことも楽しいのですが、
今回は神話の世界を通して私たちの身近にある神社仏閣や、
旅行で足を運んだ神社仏閣に祀られている神様の得意技が
どのような類のものなのかを知る方法を覗いてみませんか?
私は“得意技”と表現しておりますが正式にはご神徳(ごしんとく)と呼ばれております。
これを、もっと馴染みのある言葉に直すと“ご利益”です。
どうして、神話から知ることができるのかと言いますと、
その場所に祀られている神様が神話の中でどのような人物で、
どのようなことを行ってきたのか、
ということを元にしてご利益が決まっていることが多いのです。
同じご利益の神様であっても人物像が違えば得意技の扱いも十人十色。
もしかしたら、自分との相性も変わってくる……?
このような視点で参拝の前に神話から相手を知ってみるのも一興かと思います。
全ての神様をご紹介するには時間がいくらあっても足りませんので、
とても頼りになる日本の神様界の大御所と言っても過言ではない、
「大国主命(おおくにぬしのみこと)」さんを例に挙げてみましょうか。
「大国主命(おおくにぬしのみこと)」さんと言えば、
出雲大社の縁結びの神様としての知名度と人気の高い神様ですが
彼が縁結びの神として人気があるのは今で言うイケメンだったこと。
そして、彼を慕う女性がそれはそれは多く存在していたことが理由です。
妻子の数も多かったため、彼の子どもたちが日本中に散らばり、
その土地を守ってくれております。※過去記事でもチラリ触れております。
この辺りのお話に興味がある方は『古事記』や『日本書紀』の中から
彼のモテモテ話のみを拾い読んでみるのも面白いかと思います。
彼の有名なエピソードと言えば「因幡のしろうさぎ」もその一つです。
このお話、覚えていらっしゃいますでしょうか。
あらすじは、海を越えたところにある因幡の国へ行くことが夢だという白うさぎがおりました。
因幡の国に渡る方法を考えているとタイミングよくサメの大群が海から顔を出したんですって。
白うさぎは、どちらが仲間の数が多いか勝負しようぜ、とサメに持ち掛け、
君たちの数を数えるから因幡の国まで一列に並んでくれよ、と言います。
白うさぎはサメの数を数えるフリをして彼らの背中を跳び進み因幡の国に渡るつもりでした。
きっと、いける!そう思って気が緩んでしまったのでしょうね。
あともう少しで因幡の国というところで自分の計画をサメに全て明かし、
彼らを怒らせてしまいました。
その結果、白うさぎはサメに全身の毛皮を剥がされて重体です。
そこに旅人が通りかかり白うさぎを助けるわけですが、
この旅人というのが、神様界のモテ男くんである「大国主命(おおくにぬしのみこと)」さんでした、というお話です。
思い出していただけましたでしょうか。
イケメンで仕事もできたようですし、
サラリと人助け(この場はうさぎ助けですが)までしてしまうのでモテるのも分かります。
『古事記』や『日本書紀』にはたくさんの神様が登場しますが、
持っているエピソードの数は断トツではないかしら、と思います。
エピソードの数だけではなく、彼は別名も多くあります。
これだけ、様々なシチュエーションで力を発揮し、
別名を持つほど多様な才能と性格を持っている神様なので、
持っているご神徳も多く、強いのです。
ゆえに、多くの場所で親しまれ続けている神様界のスーパーヒーローです。
「大国主命(おおくにぬしのみこと)」さんは
仏教の神様である大黒天様と同一視されてもいるのです。
これは、大黒天様のご神徳である財神の力も合わせ持っているということ。
恋愛から財運まで幅広い特技をお持ちですよ。
いかがだったでしょうか。
このような視点で覗いてみると古事記や日本書紀の話も
楽しみ方ひとつで印象が変わるのではないでしょうか。
そして、ご旅行や初詣で神社仏閣へ行かれる際にも、
違う楽しみ方ができるのではないでしょうか。
「大国主命(おおくにぬしのみこと)」さんの名を見聞きした際には、
あ、神様界のスーパーヒーローね、大御所ね、イケメンらしいよね、
そのような事をチラリ思い出していただけましたら幸いです。
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