その日は、とてもお天気が良かったのです。
何処からともなく吹く風はカラッと爽やかで、その風に乗って運ばれてくる新緑の香りも心地よくて。
「これは、干すしかないじゃない!お布団!」とワタクシ、
いつにも増して意気込んだわけでございます。
そして、我が家のお布団は、表裏満遍なく十分すぎるほどにお日様を浴びておりました。
天日干ししている間、お布団をチラリと視界の端で捉える度に、
今夜はさぞかし気持ちの良い眠りにつけることだろう、と想像しておりました。
夜になりましたが昼間の想像は裏切られることなく、
私はお日様の匂いに包まれて幸せな夜を過ごしたのでございます。
と、このようなことを友人に話したのですが、
私は、友人から返ってきた言葉に、
世の中には知らなくてもよいことがあるのだと、改めて体感させられたのです。
お時間がありましたら、お好きなお飲み物でもお召し上がりつつ、
ゆるりお付き合いくださいませ。
前夜の幸せな瞬間を思い返している私に返された友人の言葉とは、
「あぁ、それってダニの死骸の匂いって言われてるよね。」というもの。
「……ん…ダニの…しがい?」
「あ、正確には自分の匂いと、
お布団に使われている繊維の匂いとダニの死骸の匂いが混ざった匂いだけどね」
「(やっぱり、入っているのね……ダニの死骸)」
爽やかな青空にどこからともなく雨雲がスーッとやってきて
あっという間に視界に入る空の全てを覆ってしまったような気分になりました。
その後も友人のダニ情報は止まりません。
ダニは、どんなに小まめに丁寧なお掃除を重ねても、
寝具を新品に買い替えたとして、ダニは至る所に生息していること。
そして、アレルギー症状などの原因となるダニというのは、
生きているダニではなくダニの死骸やダニの糞が原因だと続きました。
更に、一般的にも知られていることですが、
天日干しでは、お布団の表面に居るダニは駆除することができても、
お布団の裏側へと逃げ込んだダニまでは駆除することは出来ないということ。
それよりも、布団乾燥機などを利用して、
1週間に6時間以上の乾燥を4回ほど行うと、ダニが30%も減少するのだとも。
この30%という数字が大きいのか、小さいのか、
ワタクシには判断が付きかねましたが私に突っ込む間を与えず、友人は続けました。
ダニによる影響をできる限り回避したいのであれば、
殺菌よりもダニを駆除し、死骸や糞をこまめにしっかりと吸い取る方が良いのだと。
非常に丁寧に熱弁してくれた友人でしたが、
私の脳内は終始、
「天日干しの匂いはダニの死骸(正確には自分の匂いと、お布団に使われている繊維の匂いとダニの死骸の匂いが混ざった匂い)」
という文言がグルグルと巡っておりました。
お日様からの贈り物だと思ってきた幸せの香り、
これからは、ほんの少し、複雑な思いで受け取ることになりそうでございます。
今回の着地点は表向き、天日干しの匂いの正体とは?ということになっておりますが、
最後にワタクシ柊希の複雑な思いを解き放ったところで、
お開きとさせていただきたいと思います。
本日もお付き合いくださった皆様、ありがとうございます。
今日もあなたに良き風が吹きますように☆彡