今回は、日本人は間違って覚えていると言われることもある、
ワイングラスの持ち方のお話をと思っております。
ご自分の持ち方や知識を思い返し、セルフチェックにお役立て下さいませ。
その前に、少しだけ。
幸せのレシピ集内ではお作法のお話をさせていただくことがありますが、
お作法は間違っている方を指摘するためのものではありません。
相手に恥ずかしい想いをさせないこともお作法ですし、
大勢の方が間違っているからと言って指摘することが正しいとも限りません。
その一方で、自分がお作法を知らなかったが故に
同席者に恥ずかしい想いをさせることも避けたいですし、
フォーマルな場面ではお作法に則って振舞うことも大切なことです。
単に、正しい、間違いの判断基準にするのではなく、
知っている知識を自分らしく上手に使ってみてくださいませ。
さて、今回はワイングラスの持ち方ですが、
皆さんは、どの部分を持ちますか?
よく目にするのは、ボウル部分から伸びたステムと呼ばれる脚の部分を持つ持ち方ですが、
この持ち方は、主にワインの味や香りなどを確かめるテイスティングの時に使います。
ステム部分を持つ持ち方も100%間違いという訳ではないのですが、
どのようなシーンでもマナー違反になることがない世界共通の持ち方は、
ワイングラスのボウルの部分を軽く指を添えるようにして持つ持ち方だと言われています。
これがお作法だと言われただけでは記憶に残りにくいかと思いますので、
実用的な視点と歴史的な視点の両方から見てみましょうか。
まずは、実用的な視点ですが、
ワイングラスを手に持って乾杯するときにはワインを高く持ち上げますし、
シチュエーションによってはワイングラスを手に持ったまま移動することもあります。
ワインの脚、細いステム部分を指先で摘まむようにして持っていたのでは
安定感に乏しくワインをこぼしてしまったり、
誰かのお洋服を汚してしまうことも考えられます。
ですから、フォーマルな場面では粗相をする確率が低い、
ワイングラスのボウルを持つ持ち方が世界共通のお作法です。
フォーマルなシーンに限らず、ホームパーティーに招かれた際も、
ワインをこぼしてホスト宅のカーペットやテーブルなどを汚してしまわぬよう、
ボウル部分を持っても良いかと思います。
そしてもうひとつ、歴史的な視点はこのようなものです。
私たちがレストランなどで手にするワイングラスはシンプルなものが多いかと思い明日が、
古のヨーロッパの上流階級で使用されていたワイングラスは、
ワインの脚、ステム部分に職人の技と熱意が込められた
繊細で豪華な装飾が施されていたのだそう。
ですから、ステム部分を持ちますと、その装飾を壊してしまう可能性があったため
ワイングラスはボウル部分を持つことが常識だったようです。
自宅でワインを飲むときや、ラフなホームパーティーなどの時は、
世界共通ルールに拘って飲む必要はありませんが、
その場の空気や、ご一緒している方々の様子などを見て、
その場に適した気遣いをもとにグラスの持ち方を使い分けることが出来たなら、
それこそがお作法のような気が致します。
美味しく楽しいお酒を召し上がってくださいませ。