景色を眺めながら色鮮やかな和風弁当をいただいた。
日差しが強くなりはじめた頃で、日焼け止めの塗り忘れがなかったかどうかを頭の中で気にしつつ、青空の下で食べるお弁当の美味しさを噛みしめた。
様々な味を少しずつ楽しむことができる玉手箱のようなお弁当を覗き込み、切り干し大根の美味しさを知ったのはいつだったのだろうかと思った。
好き嫌いが無いということと、口にするもの全てを好きかどうかは、似て非なるものである。
真っ先にお箸をつけたくなるほど、あるいは最後までとっておきたくなるほど、切り干し大根が好きかと問われれば、私はきっと「それほどでも」と答えるだろう。
食材として扱う際も、切り干し大根がメインになることはなく、箸休めに、栄養バランスを考えて副菜に、と何かしら理由をつけて調理しているように思う。
それがいつからか、箸休めや栄養バランスを考えてと言う点に大きな変化はないものの
「あぁ、美味しい」と感じられるようになっている。
地味な外見からは想像し難いほどの栄養を含んでいることを知ったからだろうか。
だとしたら、なんと現金な……と思う。
外見に派手さはないけれど栄養豊富な切り干し大根。
天日干しで太陽の恩恵を受けることで栄養が凝縮され、フレッシュなものよりも栄養価が増すのは干し野菜の特徴のひとつである。
代表的な栄養素は食物繊維、カルシウム、カリウム、鉄分、ビタミン類などだけれど、
フレッシュな状態の何倍、数十倍もの量の栄養素が含まれているという。
これらの栄養素が、どのような事に力をかしてくれるのかというと、切り干し大根に含まれている不溶性食物繊維は、腸で水分を吸収して膨らみ便秘を予防したり改善したりの手助けをしてくれる。
他の成分は、脳卒中や高血圧、動脈硬化の予防に加え、美肌効果や浮腫み、疲労回復、肌荒れの予防、歯や骨を丈夫にしてイライラまで防止してくれるという優れもの。
地味な見た目と、変わり映えのしないお味にうっかり油断していたけれど、なかなかいい仕事をするのだ。
そのような事を知り、切り干し大根のイメージが少し変わってきた頃、注意ポイントがあることを知った。
それは、3つあったのだけれども、ひとつ目は切り干し大根を戻した戻し汁。
これには、大根の旨みや栄養素が水に溶けだしているため、捨てずにお味噌汁や煮物などに利用するのがおすすめなのだそう。
ふたつ目は、食物繊維の性質。
先日のお話に登場した昆布は水溶性の食物繊維を含んでいたけれど、切り干し大根に含まれているのは、不溶性食物繊維。
これも、腸内をお掃除しながら便秘を予防したり解消してくれるけれど、不溶性食物繊維の食べ過ぎは逆に、便秘になることもある。
だから、便秘解消や予防を期待するのであれば、適量を美味しくいただいて、水分もたっぷり補給することがポイントとなる。
そして、みっつ目。
切り干し大根などの干し野菜は、太陽の光を浴びることで栄養素が凝縮され、野菜が持っ旨味が糖化されるため、糖質制限をしている方は念の為、切干大根のGI値を確認して、上手に良い所取りを。
最近、切り干し大根を食べていないという方は今晩あたり、切り干し大根を使った小鉢メニューなどいかがでしょうか。
きっと、あなたやご家族の体の中で、いい仕事をしてくれるはずです。
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