書店の前を通りかかった時に、
どうしても目を通しておきたい本があったことを思い出し、
吸い込まれるようにして店内へと入った。
一歩足を踏み入れると、知りたいこと、触れたい世界が次々に視界に飛び込んでくるため、
その誘惑を振り払うのに苦労するのもいつものことだ。
目的の場所を目指していたはずなのだけれども、
気が付けば、いくつめかの誘惑の罠にかかっており、
私はたくさんのレシピ本が並ぶ棚の前で足を止めていた。
写真が美しい料理の専門書や洋書、
お酒に合わせたメニュー本、
ステキなテーブルセッティングと共に紹介されている、
おもてなしレシピの本などで目の保養をし、日常的なレシピ本の前へと移動した。
タイトルをザッと目で追っていたのだけれど、
いつの間に「作り置きおかず」のレシピ本が、こんなにも増えたのだろうか、と思った。
定番のものから、少し凝ったもの、幅広い年齢層に指示されるようなもの、
ちょっぴりおしゃれな作り置きおかずまでと、
作り置きおかずだけを集めたレシピ本の多さに、世の中を垣間見た気がした。
きっと、働く女性が増え、女性が自分自身の人生をもっと豊かにしようという、
とても前向きな気持ちから、日々の時間を有効に使うための手段のひとつとして、
作り置きおかずに興味を持つ方が増えたのだろう。
また、女性の幸せのカタチもひとつではなく、
様々な場所で、様々な立場で、各々の選んだ日々の中で、
その人らしく輝きながら、自分の人生も、自分が関わる相手の人生も
様々な角度から大切にできる世の中に変わりつつある表れのひとつなのだとしたら、
ステキじゃないか、そう思いながら、レシピ本をパラパラと捲った。
作り置きおかずは、
目視できないところで食中毒を引き起こす菌が繁殖していることがあるため、
保存方法や食べる際の注意点がある。
例えば、食材には、しっかりと火を通して汁気は出来るだけ飛ばし菌の繁殖を防ぐこと。
酸化を防いだり、日持ちさせるために、
保存料の役割を果たす塩、砂糖などの調味料を多めに使用し、味を濃くすること。
梅干しや、お酢やワサビなどの殺菌効果も上手く利用すること。
保存する際も、容器に水分が付着していないか確認し、
作り置きおかずも熱をお取り除いた状態で保存すること。
食べる際にも、出来るだけ加熱し直して菌を死滅させること、などなど。
お料理に慣れている方にとっては、良く知るお約束ごとではあるのだけれど、
この時季は、作り置きの注意点をセルフチェックしてみると良いのではないだろうか。
私自身、レシピ本をパラパラと捲りながら
所々に書き記されている注意事項をセルフチェックに使わせていただき、
何だか色々確認しきった感を胸に書店を後にした。
待ち合わせに向かう途中、
“どうしても目を通しておきたい本”を購入することを
すっかり忘れてしまっていたことに気付いたのは、ここだけの話だ。
今日もあなたの食卓が、まあるい笑顔でありますように☆彡