先日、友人と食事をしたフレンチレストランで出していただいたトウモロコシのポタージュが
スイーツ並みの甘さだった。
私たちは、ひと口、口にしてすぐに顔を見合わせ、
体を仰け反らせながら言葉にならない声を上げた。
こんなにも甘いトウモロコシがあるなんて、と
なかなか、ふた口めに手を付けられないくらい感動していると、
私たちの様子に気付いたシェフが厨房からひょこっと顔を出し、
「さ、どうぞ召し上がって」というジェスチャーと共に柔らかい笑みを浮かべた。
人を、これほどにも感動させることができるトウモロコシとシェフ、すごい!
きっと、それからしばらくの間、私の心の中でその時の感動がグルグルと回っていたのだろう。
我が家のダイニングテーブルの上には、
立派なトウモロコシがゴロンと横たわり、夏の匂いを漂わせている。
トウモロコシは茹でるだけで十分美味しいため、
することと言えば「茹でるだけ」ではあるのだけれど、夏の暑さもあってだろうか。
その為だけに深鍋を取り出し、お湯を沸かし茹でるというのは、
正直なことを言えば、後片付けも含めて少々面倒でもあるのだ。
だから私は、お料理の先生をしていた友人のお母様から教えていただいたズボラ茹で。
まずはトウモロコシの両サイドを包丁で切り落として皮を剥く。
この時、皮を数枚残し、残された皮にはトウモロコシの旨みが逃げてしまうないように
ラップの役目を果たしてもらう。
この皮つきトウモロコシを深さ5cmほどの普段使いしているフライパンに並べ、
水をたっぷりと注いだら蓋をして水が沸騰するのを待つ。
私はお塩は使わないのだけれども、必要であれば、この時にお塩を少しだけ入れる。
深鍋を使うときほど、お塩を使わなくても良いので、
ティースプーン1杯くらいから調節してみるとよいのではないだろうか。
お湯が沸いたら蓋を外して、トウモロコシをクルクルと回しながら火を通し、
5分程茹でたら出来上がり。
残りの皮とひげを取り除かなくてはいけないのだけれども、
想像しているよりは簡単に取り除くことができるため、
トウモロコシの甘い香りを楽しみながら皮を剥くのも私の夏のひとこまだ。
あとは、思いっきり好きなように味わうのみ。
我が家で食べる今年のトウモロコシ。
シェフのトウモロコシのポタージュには敵いそうにはないけれど、
それでも十分に甘くて美味しくて、夏の匂いがぎゅっと詰まっていた。
そのままを味わった後は、甘辛いタレを絡めて軽く表面を焼いて屋台風かしら。
いや、トウモロコシのかき揚げもいいな。
まだ薄っすらと湯気を立ち上らせているそれを眺めながら
次のアレンジを考えるのも小さな楽しみだ。
夏の匂いも、夏の味覚も、夏の景色も飽きるくらいに感じられたなら、きっと幸せだ。
感じられるかどうか、楽しめるかどうかは、いつだって自分次第。