メールでのやり取りやパソコンを使った作業が増え、
手書きの文字を書く機会も年々減っているように感じます。
このような日常が当たり前になっておりますが、
ご自分の名前や住所だけは、それなりに手書きする場面があるのではないでしょうか。
しかも、子どもの頃と違う点は、人前で名前や住所を書いてその場で渡す機会が多いこと。
たいしたことではないけれど、
久しぶりの「書く」という行為に地味に緊張する、という声を、時々、耳にします。
先日も友人から、近々、結婚式へ出席するため、
名前と住所の見本を書いて欲しいという依頼を受けたのです。
書道の師範資格を持っていることもあり、時々、友人からこのような依頼をうけることがあります。
自分の名前をピシッと書くことができると、少しテンションが上がるもの。
そこで、今回は、自分の名前や住所を書くコツを覗いてみませんか。
お時間がありましたら、お付き合いくださいませ。
ポイントを押さえながら、
フルネームを並べて書いいくと変化が分かりやすいかと思います。
まずは、【1】普段通りに書いてみます。
【2】次は、普段よりも気持ちゆっくりめに、丁寧に書いてみます。
たったこれだけのことでも、文字の見え方や印象は変わります。
【3】3回目は、線の始まりと終わりを意識し、角にすき間を作らないように注意します。
線の始まりと終わりを意識すると、雑に見えてしまっていた部分が整います。
この時に、文字の角になる部分にすき間を作らないように意識すると
文字がグッと引き締まります。
基本が出来た上で、アレンジを加えるようにしてできた隙間は、
程よい抜け感のようなものが出て文字に美しさを添えることもありますが、
まずは、基本をということで文字の角はしっかりと、くっつけましょう。
一文字、一文字を丁寧に書くことも大切なのですが、
名前や住所などを書く際には全体のバランスがポイントになります。
【4】漢字とひらがな、カタカナが混ざる場合は、漢字を気持ち大きめに書き、ひらがなやカタカナは、漢字よりも少し小さめに書いてみましょう。
こうすることで、全体のバランスが整い、とても見やすくなり、印象がよくなります。
どうでしょう。
1回目に書いた普段通りの文字と比べると、
4回目の文字は印象が変わってきているのではないでしょうか。
次は、文字そのものを美しく見せるコツを使って書いてみましょうか。
文字の多くには縦線と横線が含まれていますが、
その中の【5】横線を少しだけ右上がりに書いてみます。
あまり右上がり過ぎると尖った印象になりますので、
横線は緩やかに少しだけ右上がりに書きます。
文字によって上がり方が異なったり、
上がっていたり、下がっていたりといった不揃いはバランスが悪いので、
全ての線が同じ角度で上がるように注意を払いつつ書きます。
文字に動きが出て、イキイキとした文字に見えてきたのではないでしょうか。
最後に、横線を整えたら、縦線も整えましょう。
文字がまとまらない方の特徴として縦線が歪んでいたり、
筆圧が弱すぎで細くなっていたり、
縦線が真っ直ぐに書けていない、引けていないことがあります。
【6】文字の縦線は、自信をもって迷わずスッと真っ直ぐに書きましょう。
この辺りを意識して書きますと、
文字がイキイキとしてくるかと思います。
あとは、意識せずとも書けるように自分に癖付けをする必要があるのですが、
まずは、気楽に自分の名前を何度か書いてみてはいかがでしょうか。
秋の夜長に、お好きなお飲み物でも召し上がりつつ一筆。
お名前も、あなたと同じようにキラッと輝かせてあげてくださいませ。